2005年07月18日

ウインク

相撲に興味があるわけではない。テレビを見ていたわけでもない。テレビの音声は聞こえていたが、 その時はインターネットで何かを検索をしていたのだと思う。朝青龍がついに負けた。というアナウンスが耳に入った。 へぇーどんな負け方をしたのだろうか。その負け方に興味がわいた。テレビの元に駆け寄った。別な部屋に居た奥方も同じだったのだろう、 同じようにテレビの元に駆け寄ってきた。小結琴欧州との対決だった。どちらも外国人力士なんだなぁ。土俵に外国人力士が向き合うと、 画面の色合いというんだろうか、何というのか上手く表現できないが、若貴時代の画面の色合いとは違うなぁ。と思った。 考えてみればテレビで相撲を見るなんて久しぶりだ。そうだ。いっその事、世界各国の力士で画面が一杯になった方が相撲も面白そうだなぁ・・・ ・。なんて思っている間に対決が始まり、琴欧州の強烈な上手投げが朝青龍を見事に投げ飛ばしたのだった。「朝青龍マゲがついてマケ」 なんて新聞には書いてあった。見事な負けぷりだった。その直後のテレビ画面には座布団がフリスビーのように飛び交っていた。 画面一杯に飛び交う猛烈な数の座布団。その中で悠然とした姿で軍配に手刀を切る琴欧州。ちょっと苦笑いをしながら花道を引き揚げる朝青龍。 冷静に見れば、やっぱり不思議なスポーツだな。

琴欧州のインタビューが始まった。外国人特有の派手なトークを期待したら、実に日本人的で相撲的で礼儀正しいトークだったのだ。 ちょっと拍子抜けし、そして油断した。その瞬間、画面に向かってウインクしたのだった。 外国人映画スターがするようなウインクを相撲取りがしたのだった。不意をつかれた。いやぁ、何よりも不意をつかれたのは横にいた奥方だった。 思わず「きゃぁー」と声を出して、顔を少し赤らめた。まるで自分にされたような錯覚に陥っていたのだ。 お互い思わず顔を見合わせて大笑いした。そして、なんだか琴欧州に好感をもった。う~ん。今、 テレビを賑わしている親方もちょっと余裕を持って、にたっと笑い、画面にウインクしてみてはどうだろうか・・・・・・っと。

相撲を見ると、おじいちゃんの事を思い出す。どこのおじいちゃんも似たり寄ったりだと思うのだが、猛烈な相撲ファンで、阪神ファンで、 時代劇ファンだった。相撲の桟敷席に座っているおじいちゃんおばあちゃんの姿をテレビで見つけては大騒ぎしていた。 その三つをあまりにもあまりにも始終見せられたので、高校ぐらいになると、三つとも大嫌いになった。 当時目新しかったアメリカンフットボールの放送がサンテレビだったか何かであり、カレッジフットボールをよく見た。 洋画のテレビ放映もほとんど全て見た。反発もあったのだろうなぁ。時代劇に反抗するように洋画を見た。

私が生まれた当時の横綱・栃錦に抱かれた赤ちゃんの姿をした私の写真が、長らく自分の部屋に飾ってあった。 母親が気をきかして飾っていてくれたのだと思う。ところが、 高校生の頃になるとそんな写真はロックスターや映画のポスターにとって変わっていた。横綱に抱かれた写真はどこかに消えた・・・・・・。 そして、そして、長~い永~い時間を経て、最近、ようやく、祖父母の「愛」というものを理解できるようになってきた・・・・・・。まぁ、 おじいちゃんの位牌に向かってウインクでもしようかなぁ・・・・・・。

 

投稿者 木村貴一 : 2005年07月18日 10:15 « 臨場感 | メイン | 西瓜 »


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