2006年12月10日

檜木と想起

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吉野檜木の大木を見た。まん丸の綺麗な年輪だった。日の丸みたいだった。美しいなぁ・・・。300年以上の木だと・・・・。 真っ直ぐ伸びる木は「根」も真っ直ぐと下に伸びているらしい。良い檜木が育つ環境かどうか、まず、「土を見る」と製材屋さんが語った。 根が真っ直ぐと伸びる土壌かどうか・・・・。肥沃な土壌になりすぎていないか・・・・。肥沃な土壌すぎても、木は育たないらしい・・・・。 木を見て人を想う・・・・・。

RIMG0040明日香の近く、大和三山に囲まれた桜井という場所には、数年前までは、 何百という材木屋さんがあったという。今では、数少なくなってしまったのだとか・・・・。建築業界は、どこでも、 生き残りをかけて、鎬を削っているのだなぁ・・・・。檜木で太い柱になる木はない・・・。伊勢神宮に使う檜木がない・・・。 なんて聞いていたけれど、あるところにはあるのだなぁ・・・・・。檜木の大木がゴロゴロしていた。吉野檜木は構造材に適し、 木曽檜木は造作材に適していると教えてもらった。吉野檜木には粘りがあって、いつまで経っても艶が失われないとか・・・・・。 木が育った場所によって、木の色もこれだけ違うのだなぁ・・・・・。

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綺麗に桟積みにされた材料。割れを防止するために、小口には和紙を貼ったり、ボンドを塗ったりして、自然乾燥により、 たっぷりと時間をかけて乾かす・・・・。秋から冬の伐採期に原木を選別して仕入れるという・・・・・。木が生えて立っている状態から、 木の素質を見極めるその眼力って凄いなぁ・・・・、財力も凄そうだなぁ・・・・、プロの中のプロの店だなぁ・・・、て、 心の中で呟きながら眺めた。

「いやぁ、実に綺麗に管理されて、きっちりと積み上げられてるなぁ・・・」と、横にいた親父に呟くと、「そりゃぁ・・、 札束と一緒やなぁ・・・、お金や思ったら綺麗に積み上げるやろぉ・・・」う~ん、何とも下品な例えだが、確かに・・・と、 妙に納得してしまった。それにしても、「スローなもの造り」だなぁ・・・。奈良の潜在的なポテンシャルって、凄いなぁ・・・。 そんな材木屋さんというか製材屋さんが存在している事に感嘆しながら帰りの車中でひとしきり語り合った。

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妙な縁で、スリランカの人が我が家に来て、カレーを作ってくれた。水を全く使わない、所謂、とろーとしたルーがないのだ。 何種類かのカレーを皿に盛って、ご飯にそれをよそって食べる。カレーを中国料理風に取り皿して食べるような雰囲気だった。美味だな。

彼は日本に来て10年以上たつらしい。読み書きはできないが、バリバリの大阪弁で語りかけてくる。私以上にテレビのニュースを通じて、 日本の出来事を知っているのだ。親が子供をどうしたこうした・・・。子が親をどうこうした・・・。という悲劇のニュースに怒りを表す。 そんな事、考えられない・・・と。この10年間で日本人はすっかり変わってしまった・・・・と嘆く。それでも、日本が好きらしい・・・・。

大木の檜の原木と製材。スリランカ人の話し。それらから、「想起」という言葉を思い描いた。「日本」を想起するとか・・・・。「自己」 を想起するとか・・・、想起とは過去の出来事や体験を思い起こすこととあった。いやぁ、実は、いやぁ、きっと、昨晩見た、 硫黄島の手紙のテレビが、こんな気分にさせたのだなぁ・・・・・。

 

 

投稿者 木村貴一 : 2006年12月10日 21:09 « 構造補強 | メイン | 冬支度 »


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