« 2007年05月 | メイン | 2007年07月 »

2007年06月24日

ソファー

P1050678雨が降ると、木々がみずみずしくて、美しく見え、時にはいいなぁと思える。 日曜日の朝の雨に遭遇すると、無性に、本が読みたくなる。音楽も聴きたくなる。ビデオも見たいナァ・・・と。

そう言えば、最近、本の読む量がめっきり減ったなぁと自省させるのは、雨のせいだと思う。うちの長男が小学生の頃は、私もよく、 本を読んでいたので、長男は本好きなのだが、今、次男が小学生のこの頃は、あまり本も読まず、音楽も聴かずで、次男は、本好きとはいえない。 ・・・というような、父親の生活習慣と息子とは、どのような因果関係で影響し合っているのかなぁ・・・・と、考えさせられるのも、やっぱり、 雨の影響だとおもう。

昨年のちょうど、今頃から設計の打ち合わせをして、 その年の11月に完成した旧家のリフォーム工事があった。おばあさんの体調が芳しくなく、今、まだ、元気な間に家を綺麗にして、 気持ち良く生活してもらいたい・・・・。そんな要望だった。リフォームのきっかけは、ほんとうに、様々だなぁ・・・・と、 いつもおもう。

そのおばあさんがお亡くなりになったと、突然の悲報があって、葬儀に参列さ せていただいた。後日、「おばあさんは、 新しく造ったダイニングの作りつけのソファーに座って、孫が遊ぶ賑やかな様子を眺めていたのです。ソファー造って良かったです。・・・・」 と、お電話をいただいた。

思い返して、暮れに訪問した時の写真を眺めた。そう言えば、ソファーを造るか造らないかで、二転三転したっけ。 ソファーの色を一緒に選んだっけ。と、雨音を聴きながら、ふりかえった。合掌。

   RIMG0017RIMG0009
   RIMG0010RIMG0007

 

Share (facebook) 


2007年06月17日

レッカー

P1050509尼崎で木造の3階建ての上棟があって、駐車場に車を止め、住宅街を歩い て、現場に向かう。 最近は、駐車スペースを探すのに苦労することが多い。もともとは古い住宅街だが、阪神大震災によって、ほとんどの建物が、 ハウスメーカー風の新しい建物に建て替わっている。コンクリートのマンションも多い。

建物の間から、キリンの首のようにレッカーの竿がニョキッと出ていて、「おー、やってるなぁ・・・」と呟きながら歩いて、 現場の前の通路に到着する。梅雨入り前の雲ひとつない青空だった。

P1050511P1050512所謂、旗竿敷地の専用通路の間にレッカー車がスッポリと入って作業をしていた。 「上手いことレッカーが中に入ったものやなぁ・・・」と感心しながら、作業を見守る。

上棟の日の木造の木組みの上に上がるのが好きだ。理由はよく分からないけれど、体が、そのように要求する。平均台の上を歩くように、 梁と梁の間を歩きながら、木と木の仕口を眺め、木組みの揺れを感じ、木が組み上がるにつれて、木が固まり、揺れが止まっていく様子が好きだ。 大工からは、上棟時に何の役にもたてへんし、邪魔やなぁ・・・と、思われているに違いない・・・・。

P1050526P1050522それよりも、ちょっと、緊張したのが、上棟が終わ った後に、 レッカー車を通路から道路まで出す時だった。隣のブロック塀とレッカー車の隙間は数センチ。 手伝い職の松ちゃんと一緒に木組みの上から眺めていると、「もう、見てるだけでドキドキして・・・、あー、もう、 見てられヘンわ!」と言って、松ちゃんは、スーッとその場を離れ、箒を持って、後片付けをし出した。

レッカーの運転手もやっぱり、技術がいるよなぁ・・・・。あの狭い道路からこの狭い通路に入ってこようと、判断し、トライする姿勢は、 凄いなぁ。やっぱり、「経験」と「勇気」だよなぁ・・・・・。

現場にいると、職業として、大工は絶対的に出来そうにないし・・・・、レッカーの運転手も無理だなぁ・・・・と、実感するのだった。 なんだかんだ言っても、家造りは、職人さんあっての家造りだなぁ・・・・と思う。

 

Share (facebook) 


2007年06月10日

慰安旅行

会社の研修旅行があって、まぁ、慰安旅行と呼んだほうがふさわしいのだけれど、 社員と大工さんと手伝いさんと協力業者さんの55名ほどが、バス1台にギュウギュウ詰めになりながら、金沢の21世紀美術館と東茶屋町、 庄川温泉、白川郷、飛騨高山の吉島家、オークヴィレッジと1泊2日の旅をした。

P1050201最初に訪れた21世紀美術館は噂通りに素敵な美術館だった。もう既に、 かなりのアルコール度数に達している人が若干名いて、入館するのにアルコールチェックがなかったのは幸いしたものの、 レクチャールームで、館内の案内をしていただいた、館内員さんと一緒に、作品をガードして回るのに気を使う始末だった。 それにしても、 ジョークを飛ばしながら現代美術を笑顔で見て回る酔っぱらいの姿を一緒になって笑いながら受け入れてくれた館内員さんどうもありがとうございました。 そんなところにも、開かれた美術館としての熱意が宿っているのかもしれななぁ・・・・。

P1050214P1050236P1050224 
P1050267P1050233P1050219
P1050206P1050230P1050271

ちなみに、先日訪れた地中美術館でのジェームズタレルのオープンスカイフィールドは有料だったのに、ここ、21世紀美術館では、 それが、無料の展示スペースで見ることが出来た。おっちゃんやおばちゃんや中学生がそのスペースで、くつろいでいる姿が、 とても印象的だった。羨ましいなぁ。

 


070610-0959キムスコ(木虫籠)と呼ばれる格子があると知ったのは、 金沢市内の東茶屋町を見て回ることになってからだ。外から中は見えにくく、 内から外は見えやすくするために格子を台形に作っているという。インターネットで左のような図を見つけた。 外が大きく内が小さい台形だった。

バスの中でその資料を配ると、「外から見ても中から見ても隙間は同じやから、どちらから見てもそんなに見え方が変われヘンと思うワー」 と誰かが呟く。「隙間は同じだけれど、内の方が格子の隙間が広がっているから、外からの光が内部で、 より多く拡散されて広がって入ってくるので、内から外を見たほうがよく見えるのとチャウ」と。う~ん、なるほど。
       P1050294P1050293
       P1050301P1050299
       P1050303P1050291

 


ryokannonagameその日の宿泊地、庄川沿いにある庄川温泉の部屋の窓から外を眺めると、ここは、 町の中にポツンとある温泉だと知った。宴会の醜態をお届けできないのは、残念だけれど、P1050372ほとんどお酒を飲まない、うちのヤングダイクス3人組は、 バスの中でも宿の中でも任天堂のDSで、対戦ゲームに興じている様子は、「大工も変わったのおぅ・・・」と、 その3人を教えた酒飲みの棟梁が呟きそうな、そんな姿だった。

 


P1050427翌日、白川郷にある合掌造りの和田家に行き、内部を案内してもらう。 焔硝と呼ばれる火薬造りが、養蚕とともに大切な産業であったと聞かされると、どうして、 こんな山の中にこんな大きな集落が存続したのか、 妙に合点がいった。

 

1階と三角形の小屋組が見える2階の床の間に中2階があって、物置になっていた。設計のTくんが、職業柄、 携えているメジャーで寸法をあたると、約1400mmだった。「おー、ハウスメーカーの蔵の家と同じやん」と呟いたのが、印象的だったなぁ。

   P1050419P1050421P1050422
意外と、こんな小屋に興味が奪われてしまった・・・・・・。

 


P1050481P1050476山道をバスに揺られて、高山の町に到着し、お昼ご飯をバイキングで食べた後、 町中を歩いて吉島家に行く。私は15年以上前に一度訪れた事があるのだが、それ以来だった。相変わらず、美しい木組みが、 南向きのハイサイドの光で、輝いていた。

P1050480P1050451館長の吉島さん自ら、説明をしていただいた。(どうも、ありがとうございました。)「数年間、 役所に貸していたことがあって、暫くすると、黒光りしてい た、縁側の床板の艶が消えた。どうも洗剤で拭いたのが、原因らしい・ ・ ・ ・」という語りが、心に残った。無垢の床板は、やっぱり水拭きが一番のようだなぁ・・・・・・。

        P1050483

 


時間がおして、オークヴィレッジには20分そこそこしか、滞在できなかった。もちょっと、ゆっくりしたかったなぁというのが、 皆の意見だった。同感。慌ただしい中でも、お店の方には丁寧に説明をしていただいた。家具を見て、「木」もいいが、家具に塗られた 「透明の漆」がいいなぁ・・・・・・と。

 


会社に帰って、吉島さんから頂戴した、実に、建築的な冊子を眺めた。あれぇ、これ、昔、新建築の住宅特集で見た住宅だ。 この設計者の吉島さんが、吉島家の館長の吉島さんと同一人物・・・。まだ、学生だったけれど、印象に残った建築のひとつだった。

  P1050473P1050475
       P1050478
  P1050482P1050484

1982年のその雑誌には、「・・・・ つまるところ、今日風に変質させ、大胆に処理することの中で、いわばモダン民家といおうか、 ドメスティックにトラディショナルに現代を表現してみたかったわけで、・・・・・・・」と書かれてあり、それが、 どういう事に挑戦した建物だったのか、今なら少しは理解出来る年と経験を積んだのかなぁ・・・・と、当時の自分の姿とともに振り返ってみた。 最近の工務店や設計者が造る木づくりの家の原型のようでもあるか・・・・・?と考えながら、 あのような家で育った土壌があってこそ生まれたモダン民家かなぁ・・・・・・と、自問した。

 

 

Share (facebook) 


2007年06月03日

受賞式

2第53回大阪建築コンクールというのがあって、 弊社で施工させて頂いた阿久津知嗣さん設計による「生駒の家」が大阪府知事賞を受賞した。その表彰式が、弁天町のホテルであった。

P1050099当然、設計者がメインで受賞するのだが、嬉しいことに、私たち施工者にも賞状を戴いた。まぁ、 でも、そんなことより、建築主である施主に賞状が授与されたのが、何よりもいいなぁとおもった。

よくよく考えてみれば、施主が、設計者を選び、施工者を選んで、費用を捻出する事によって、現実の建物として出来上がった訳だから、 施主への感謝状というのは、大切な事だなぁ・・・・・。

そうそう、生駒の家の構造設計者は、先日、林敬一設計の上棟式で歓談したSさんだった。いまの建築界の状況を考慮すれば、 構造設計者にも感謝状があってもいいのかもしれないなぁ・・・・。

P1050096受賞席の式場に着席すると、左隣は施主のEさんで、右隣は、 渡辺賞を受賞した矢田朝士さんだった。以前に、仕事を一緒にしていて、その受賞した建物は偶然、 弊社でも見積をさせていただいた建物だった。その建物の施主さんにも久しぶりにお会いして、家の話などお聞きし、 施工者の出口工務店さんの社長さんとも、その後の懇親会で、楽しく歓談して、過ごした。

P1050169そういやぁ、舞台で、賞状をもらった経験は、小学校の時以来だなぁ・・・・と、 去来する昔の思い出を眺め、舞台の金屏風を眺めていると、屏風って、誰が、考えたのか、面白いデザインの装置だなぁ・・・と、 脳裏をよぎる思考も眺め、そして、淡々と進行する式典を眺め、何度も拍手を送りながら、座っていた。

 

Share (facebook) 


« 2007年05月 | メイン | 2007年07月 »