2008年03月23日

基本

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P1120011雑誌が手元に届いて、日経ビジネスの1ページ目を見ると、こんな記事に目がとまった。 「鵤工舎舎主・ 宮大工」と肩書きがあり、「すべての基本は研ぐこと」と黒く太く書かれた文字に目線が吸い込まれる。そして、そのページに、 スライドが覆い被さってくるように。春分の日の「大工の姿」が、スライドインしてきた。

P1110982なんだか、「おまけ」のようにも感じるこの春分の日の休日は、確かに、会社は、「休み」  なのだけれど、半数ぐらいが働いていた。工程の遅れを詰めるために現場に行くもの。昼間、現場に出ているため、 往往にして、夜にしか出来ないデスクワークを朝からゆっくりと社内でするもの。日頃は現場からの電話の応対などで、 慌ただしく書いている図面を、ゆったっりとしたリズムで図面を書くもの。いろいろ・・・・・

P1110992 大工さんは、製材や刻みの音を近所に響かすのに気を使い、朝から鋸の目研ぎをしていた。 沖棟梁曰 く、 「大工の基本は、真っ直ぐに切る。真っ直ぐに彫る。真っ直ぐに削る。そのためには、刃物を研ぐことが基本だと・・ ・・・。」

P1110996P1111002ゆったりとしたリズムで、瞑想的な雰囲気を発散させながら、黙々と、 静かに研ぐという作業を続ける。そして、午後3時前後、それぞれが、それぞれのリズムで、三々五々帰って行く。  春分の日の素敵なすごし方だなぁ・・・。 

春分の日の翌日、雑誌「住む」に弊社で施工させていただいた「コトバノイエ」 が載ってるよ!と設計の矢部達也さんからメールをもらったので、早速買いに行く。

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施主の加藤さん自らが撮った写真が掲載されていて、 いいなぁ・・・とおもう。住宅特集住まいの設計に掲載されていたどの写真より、 家の雰囲気と「色」が、現物とおりだなぁ・・・。設計のヤベッチさんが撮った写真も2ページにわたって掲載されている。へぇー、 6ページにわたる雑誌の紹介記事の写真が施主と設計者の撮った写真だけだというのが、以外で、面白い。「棚が壁、壁が棚、本棚構造体の家」 として、紹介されていた。私の体感した現物の家が、雑誌の写真のそのとおりだなぁ・・・・。

そういえば、「住む」に掲載されたのは、現代計画の江川さん設計による「今田町の家」 が創刊号の特集「正直な家」で掲載されて以来だ。今月の特集は「自在に考える、収納」で、「仕舞いやすく、取り出しやすく、 わかりやすいこと。収納の基本はそれだけ。」とあった。なるほど・・・・。

確かに家づくりでは、収納を一緒に、考えたいとおもう。うちのホームページのコンテンツにある「収納をデザインして欲しい」より 「収納を自在に考えたい」のほうが、より良いよなぁ・・・。

「基本」という言葉が、響く。そうそう、日経ビジネスのそのページには、「研ぎはすべての基本です。・・・・、研いで研いでいくと、 だんだん嘘がつけなくなっていきます。企業も研ぐべきものを持っているところが強いんでしょう。」と書いてあった。

「企業にとって研ぐべきもの」か。う~ん、まるで、禅の「公案」のようだ。

投稿者 木村貴一 : 2008年03月23日 12:53 « 現場からの報告 | メイン | ロールケーキ »


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