2010年05月23日

雨が降っている。日曜日は晴天の日が多かっただけに、しっとりした気分。

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週始め、リフォーム工事の写真撮影があって、覗く。中古住宅を購入することから、日住サービスのナリタさんと協働しながらお手伝いをした。新築も考慮したものの、最終的にはコンクリートの中古住宅に出会い、購入する事を一緒に決断し、全面リフォームをする。

いま、世の中では、構造と断熱は社会的に求められている事でもあって、工事中には、構造設計のタハラさんに、現場に足を運んでもらい、アドバイスを受け、構造的な処理をする。断熱は外断熱にするかどうか、いろいろと検討したが、隣地との空き寸法やコストの問題を考慮してウレタン吹き付けとした。

自然素材という言葉が流行りだしたのは、もう何年前の事か・・・。床は無垢の板材を使用する事がほとんどだが、タイルという希望もそれなりにあって、大阪ガスの床暖房を併用しながら、ちょくちょくタイルの床も施工する。壁と天井は、漆喰ペンキを使っていて、自然素材といわれるジャンルの素材。収納は、うちの大工さん達が、ランバーコアー材で造ってくれて、設計のタナカくんが、窓との関係性や、電子ピアノや液晶テレビやパソコンや本やその他ゴチャゴチャもんを考慮して設計した。その棚を今回は白に着色する。キッチンはモーリーショップ。

どんな収納を造るのか、テレビとか、パソコンとか、本とか、ゴチャゴチャしたものとか。最近は食卓のテーブルが、「食卓」を越えて「居卓」であったり「勉卓」であったり「パソ卓」となることが多い。ますますテーブルの存在感が高まる。お客さんとの会話もそのテーブルでする時が大半。何よりも、子供の勉強が、勉強机よりも、そのテーブルでする事が圧倒的に多いようだ。とおもう。

うちの子も、キッチンに付属するテーブルが勉強机で、それ以外で勉強した姿をほとんど見ない。だいたい近頃は塾が勉強の場なんだ。それで、ダイニングテーブルの廻りには子供の本や文房具や、何が入っているのかよくわからへんゴチャゴチャもんを詰め込んだワゴンなどが溢れ出していて・・・・・。前置きが長くなったが、そんな、生活の一部になっている、ゴチャゴチャもんも含めた収納する棚類をどうつくるのか?棚の機能とそのデザイン性はますます重要になったきた・・・・。もはや空間を構成する一部。

DSC06897昨日、深夜に訪れたのが、弊社で施工したコトバノイエの設計者、ヤベさんと、そのコトバノイエの施主のカトウさんが協働したブックストアーで、そのオープンニングパーティーがあった。 本の全てが面陳。カッコエエ。

棚と背景の塗装は設計のヤベさんのセルフビルド。背景が黒塗りで、それが、写真では判別できないとおもうけれど、その下地が、ガタガタで、ALCであったりブロックであったりモルタルであったり。その上に黒の塗料をぬっているので、威圧感の黒とならず、素材感があって、抑揚のある黒になっていて、カッコエエ。何よりも面陳の本が、カッコ良く見える。それに、ヘタウマの棚が、壁に張り付いている。壁からの出っ張りの微妙な寸法や棚の組み方や窓との関係性は流石、プロ中のプロ。でも施工はヘタウマ。いやいや、けっして、ヘタヘタとは言わない・・・・。「あじ」があるというプロの大工ではマネのできない領域。中途半端なプロフェッショナリズムな大工よりエエのかも。

キムラさん、黒の壁とランバーむき出しの棚のコンビ。マネしたらアカンでぇ。とヤベ先生が言う。いやいや、隣国のようなデザインの搾取はしないけれど、ちゃんと敬畏を表して、引用致しますから・・・・と。言ったかどうかは、深夜なので、忘れた。

それにしても、とにもかくにも、施主の方や設計者や大工さんと一緒になって、「棚」をつくりたいものだね・・。機能的な棚。カッコエエ棚。倒れない棚。便利な棚。本棚。食器棚。パソコン棚。ゴチャゴチャもん棚。テレビ棚。飾り棚。数寄屋な棚。桂離宮な棚。ルイビトンな棚。愛のある棚・・・・。棚。

日本で最初にシステムキッチンを造ったのがモーリーショップなのだそうだ。間違った情報ならゴメンナサイ。そのモーリーショップとは、それなりにエエ関係を保ちながら仕事をしているのだけれど、その関係性のなかで、建物を見に行く案件があって、京都まで赴くと、それは、それは、見事な数寄屋の家だった。最近は、数寄屋という言葉をしらない人が多いのかも知れないね。その座敷や玄関や居間は、「木」というものを「線」的にプロの技術とセンスで、最高級に組み合わせてあった。柱や長押には大面がとってあって、そのセンスと技術にしびれた。iphoneにも、その微妙な角度の面が取られたデザインに、何か通じるものがあるかもしれない。そのデザインが好き嫌いかは別にしてのこと。その家が何度も繰り返し見ていた会社で所蔵している京の数寄屋という本にある住宅だったので、いっそ驚く。

会社に帰って、その本を眺めながら、たまたま会社に立ち寄った大工のササキくんと、その本を見せながらその家の話をする。一生に一回でエエですから、こんな家の大工仕事をしたいですワ。やっぱり大面をセンス良く取れるのが大工にとっての最高級の仕事やとおもいますワ。大面をとるのは勇気がいりますワ。面をとると、あちこちの仕口がタイヘンムツカシクナリマスカラネ。と。目をキラキラ輝かせながら語る。

いづれにしても、棚の設計者や数寄屋の大工さんが、「面」や「線」で、悩み、葛藤した、その痕跡に触れると、こちらも、ものづくりへの、あらたなエネルギーを授かり、有り難くおもう。とっても感謝。

話が、横道にそれてしまった。そのリフォームの写真撮影は無事終わった。考えて見れば、中古住宅探しからお手伝いしながら、その決断のアドバイスをし、ライフスタイルをお聞きしながら、素材や棚などの設計を一緒に悩み、施工という、もの造りの過程を共有し、引き渡しという日を迎える。時には写真撮影もある。引き渡し日はメンテナンスというあらたなお付き合いが始まる日でもあって、私たち工務店にとっては、業者の器具説明などを聞きながら、無事に家のお引き渡しをできるのが、何よりもの喜び・・・・・。そして、雨は、一日中降り続く。

 

追伸
そうそう、土地や中古住宅を一緒に探すのは、なかなかムツカシイことで、それは「縁」という、得体の知れない波をとらえ、その波に上手く乗れるかどうか、一緒に流れていけるかどうかなのだろう。

ここ数年、土地探しからお手伝いしてきたが、いまだに、その波待ちをしている人がいっぱいいて、いい波にあたらない人や、決断しきれない人、どうすれば、その波を発見できるのか、その波をとらえ、乗りこなせるのかよくわからいままで、もどかしい人・・・・・。それが、土地や中古住宅を探しているその人たちだけでなく、「私」も同じようにもどかしく、おもう。きっと、なんらかの「縁」を呼び込む方法があるのだろう・・・・・。

soudankai-denwa-yotei

投稿者 木村貴一 : 2010年05月23日 22:08 « 脳裏 | メイン | ゆったりと過ごす。 »


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