2010年06月13日

日本的なもの。

伝統とか日本の文化とか。そんなテーマを大上段に構えてみるつもりはないものの、サッカーワールドカップを見ると、「日本的なもの」ということをたまには考えてみたくなる。というよりも、単純な話、南アフリカのスタジアムから聞こえてくる、あの、ハエが何万匹も一斉に耳元の廻りを飛んでいるかのような、あの音。あれには、文化というものの大きな違いを感じさせられる・・・・・。

いや、ひょっとして、あと2週間、あれを聞き続けると、快感に変わっていくのかも・・・。2週間後のブログで、あの音がもはや快感。と書き始めている「私」がいるとしたら、いや、どうなんだろう、そういう人間のもつ体質って怖いねぇ。2週間後の「私」が楽しみ。

「縄文」の遺跡のある「場所性」が好きで、できるだけ、「旅」の訪問地に組み込む。山の幸、海の幸が豊かそうで、風光明媚な場所が多い。まぁ、最高のキャンプ地ともいえる。先日のゴールデンウィークには尖石遺跡に立ち寄った。ところが、到着が午後5時頃になってしまい、縄文の土器や土偶を見る事は出来ず、縄文のアイドル達には会えなかったのが、残念といえば残念。

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それでも、意外な出合いがあって、この遺跡の建物の図面を引いたのが、堀口捨己であったという事。ほんとうに縄文当時、こんな建物だったのかねぇ・・・・と、考えてみる。それにしても八ヶ岳の山々を背景とした気持ちのエエ、キャンプ地。こんな場所性があってこそ、自然との付き合い方があってこそ、あんな土器や土偶が生まれるのだろう。現代と違う内的な豊かさを垣間見るとともに、日本的なもののルーツを感じる・・・・。

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先週の日曜日と月曜日の二日間、社員と大工と協力業者の旅行をし、その見学のひとつに刀鍛冶の実演を見る。それを見学していると、ものつくりの背後に見え隠れする「たたら製法」による鋼も含めて、日本的なものつくりって、何だろうかねぇ・・・・・と、考えてみたくなる。

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岐阜の林産地におもむき、木の伐採やハーベスタといわれるガンダムのような機械が豪快に木の枝を落とし、寸法切りする姿に感激したが、切ったばかりの切り株にチェーンソウを置きながら、木の切り方をプロ的に説明してくれた、その職人さんの顔や体つきやその情熱と雰囲気に日本的なものをより強く感じた。

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それよりも、もっとも日本的なものを、あらためて感じたのは、夜の宴会だった。大広間にお膳を並べるという、これぞまさしく前時代的なオーソドックスなスタイル。浴衣に着替えて、あぐらをかいて座る。「膝をつき合わせたコミュニケーション」というスタイルにこだわるのは弊社の会長。もちろん、私も受け入れている。というよりも今の時代にとっては、日本的なコミュニケーションを学ぶための、ある種の食事会のようなもの・・・・。

「私」は正面の席に、えらそうな顔をしながら座る。座ったままの宴が進み、頃合いになると、うちの一番若い社員のTが左手にグラス右手にビール瓶を持って、誰よりも先にやってきた。誰に、そんな事を教わったのだろうか、どの先輩かが、そういう事を教えたのだろう。それで、「これからもよろしくお願いします」と、にこやかな笑顔と共に頭を下げながら、なんと、右手のビール瓶を私に渡し、左手のグラスを前に出して、ビールをついでもらうスタイルをとる。少々私も面食らった。その瞬間、横に座っていた、協力業者の会長のオカモトさんが、「おいおい、それは違うやろ!」と真顔と爆笑をまぜながらつっこむ。

それで、Tは、何となく、間違ったスタイルなのだと感づいたようだったが、その勢いも手伝って、私は笑いながら、ビールを丁重にTのグラスに注ぐことにした・・・・。それで、その後、Tから返杯を受ける。Tに悪気やしゃれっ気があった訳でもなく、ごく普通にTが考えた、お酒の席での社長と若い社員とのコミュニケーションの取り方だったようだ。

それにしても、こんなスタイルのお酒の飲み方がうまれたのは、いつ頃からかね。縄文人は、すでに、こんなスタイルで、杯を酌み交わしていたのかね。南アフリカの人々はどんなスタイルでお酒を酌み交わすのかね・・・・・。

膝をつきあわせて、杯を酌み交わすようなスタイルが、いま、大まじめに必要とされているとは思えないが、そういうスタイルを軽やかに「遊ぶ」ことで、ある種の打ち解けや仲間意識がうまれるのも事実。日本的な方法というものをあらためて、模索したいね・・・。

投稿者 木村貴一 : 2010年06月13日 23:51 « ソシキ | メイン | 体験して気付くこと。 »


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