2010年11月14日

白朝行。

休みの朝になると、ランニングを続けていて、起きて、iphoneのランナー用ソフトを立ち上げて、ポケットに放り込み、玄関の扉を開けて外に飛び出す。まず、いつものように、清見原神社に立ち寄る。勿論、弊社で施工したというのが、もっとも大きな要因であるものの、参拝するという行為の中にある何かが、心地良さを生むので、強いて、何かを願うわけではないが、二礼二拍手一礼で、参拝をする。

その時は、まだ、白々と朝が明ける前で、朝6時前にも関わらず、いつも誰かが、参拝に来ていて、その人の精神状態を推し量ることは出来ないが、その姿を見ると、心の中に、ある何かの感情が湧いてくる。それがいったい、どういう感情なのか、勿論、深く考えないし、解釈している余裕もないまま、兎に角、走り出す。暗峠街道にあたる、東成の街道を走り、森ノ宮を通過して、大阪城公園を少しだけ走って、Uターンすると、だいたい4Kmほど。

帰りは、元の道をなぞりながら、長い直線が続く東成の商店街をひた走る。その商店街を生駒さんの方角にあたる東に向けて走り抜け、国道に出たところ、高井田ラーメン住吉のある交差点を、南向きに、布施の商店街に向かう。ちなみに、あの、こってり系の高井田ラーメンをうちの息子や奥方は好み、私は、ちょっと苦手。そうそう、もう少し北の方角の中央大通り沿いにあり、大阪一だという噂もあるらしい、金久右衛門は、看板も何もなく、営業時間も限られていて、また、満員だったりし、一度しか行けてないが、いやぁ美味かったな。という鮮明な記憶が残っている。

布施の商店街を南に抜けきる手前には、つんくの実家の御漬もん屋さんがあったりし、交差点を東に曲がって、万代百貨店の発祥の地を左手に見ながら一方通行の、かわいらしい商店が並ぶ道を、地下鉄小路駅に向かって進む。永和信用金庫の交差点を南に曲がって少し走り、家に帰り着くと、約10Kmほど。特に、布施から小路に至る道は、見慣れた、我が道という感覚で、その雰囲気も含めて、家路に帰る、エエ気分。

その道が、東野圭吾の白夜行の主人公が歩く道だという話を聞いたのは数年前の事。ちなみに、今から十年以上前、おばあちゃんが、いつもいつもメガネを直しに行くお店があって、そのお店は、例の道の終着点の小路駅のすぐ近くにあり、小学生の時に通っていた、そろばん塾の数件隣だった。その店から帰ってくる度に、「あそこの息子さんがな、小説書いてはりまんね、それが、けっこう売れて、かなり有名になってはるらしいでっせ。おとうさんが、いつも嬉しそうに話してはりまんね。」と、柔らかな大阪弁で語りかけてくれた。それを、「あっそぉ。」とつれない音声で、返答した記憶が残る。

それが、東野圭吾の事だと知ったのは、つい3、4年前の事で、今から思えば、もっと、愛想良く、聞き返せば良かったな。と後悔するのは、有名人が近くに住んでいたという、妙な自慢話だけでなく、この話を誰かに語ると、90を越えて、いま、病院で入院し、ろくに喋ることもできない祖母の様子をみるにつけ、あの柔らかい大阪弁をもう一度聞きたいな・・・という、妙な思い出と交錯するからだった。恥ずかしながら、白夜行をまだ、読んだことがないので、これを機会に読んでみるかもしれない・・・・・。まぁ、こじつけるのなら、私の朝のランニングは、白朝行と呼ぶのかね。

そうそう、道すがらの出来事で、ふと思い出した。それは先週の事。八尾でリフォーム工事の引き渡しがあって、その帰り道、新たなリフォーム工事の、一戸建て住宅の耐震補助金の申請をするために、八尾市役所で、設計のタナカくんが降りて、私ひとりで、車で帰る事になった。ちなみに、様々な補助金にまつわる申請作業が増えて、設計の仕事のかなりの部分に、建築行政書士的な業務が増大する一方で・・・、いやいや、愚痴ってるわけではないのですが・・・・。それにしてもね・・・・。

数年前に、その八尾市役所のすぐ近くでリフォームしたお宅があって、なぜか、ほんとうに、ふと想い、家の前の様子を外から見るために、一本手前の脇道に入って、前を通り過ぎようとすると、車で出掛けるところだった、鍼の施術をする奥さんと、偶然の、ここぞというタイミングで、鉢合わせをした。「久しぶりです。」「まぁまぁまぁまぁ・・・」などと、いう流れで、家に上がりこんで、珈琲をご馳走になりながら、四方山話。

木村家本舗の顛末をつらつらと話す・・・。時々、ネコが膝の廻りにまとわりつき、家で、ネコを飼っていないので、たまにネコに触ると嬉しい気分になって、心地良い。栗の無垢板の手入れの仕方など、あれこれと・・・・。鍼と東洋医学の話から話が発展し、ひょおっとして、来年の木村家本舗が実施されたなら、「鍼」のトークイベントをしてもらうかも・・・。あくまで、かも。ですが・・・・。そういえば、木村家本舗の続編として、施主でもあるOさんによる、クリスマスリースを製作するフラワーアレンジメント教室を12月1日(水)に開催予定です。詳しくは、ホームページで案内しますので、ご興味のある方は、お気軽にどうぞ。

話は、それたが、木村家本舗から収穫した本の中に、アメリカの作家で、カート・ヴォネガットのエッセイがあって、こんなコトバに出会う。「われわれはダンシング・アニマルなのだ。起きて、外に出て、何かするというのはすばらいいことではないか。われわれは、この地球に住んでばかばかしいことをするために生まれてきた。これに関してはだれにも違うとは言わせない。」 ダンシングアニマルとして、早朝のランニングをするという、考えてみれば、かなりばかばかしい、白朝行は、もう暫く続ける予定。

投稿者 木村貴一 : 2010年11月14日 22:41 « ニュートラル | メイン | ささやかだけれど、役に立つこと »


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