2011年03月06日

シュールとアフォーダンス

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リフォームの現場に行くと、時々、シュールな光景に出会う。長屋2軒続きの家で、隣を借家として、貸していたのだけれど、その人が出て行かれて、ひとつの住まいとしてリフォームする事になった。その内部解体の現場を見に行く。

「夕焼けの空」という習字が壁に残っていた。ちょうど、夕刻で、日が暮れかかって、内部は、薄暗くなり始めていたところでもあった。一瞬、小学生の頃に、近くにあった、習字教室に通っていた事を想い出した。長屋の2階にあって、長屋として横並びに続いているのだけれど、1階と2階も住人が別れていて、二つ並んだ玄関の片方の玄関の扉を開けると、いきなり急な階段が現れて2階に上がる。その2階が習字教室だった。

その階段を上がる時の雰囲気と、その時の身体感覚。正座をして、座テーブルに向かって習字を習う時の寺小屋のようなその雰囲気。朱墨で、クルクルとまるをつけられたり、訂正されたりする時の感覚。そんな身体感覚が、一瞬だけ、蘇った。それとともに、何となく、ここの住人の姿を想像する。引っ越しする時も、この習字を残して、去っていった、その時の情景と心情は・・・・。

左上の柱には、プロマイドが貼ってあって、笑顔のあどけない、いわゆる清純派女性アイドルの写真で、よくよく見ると、酒井法子って、書いてあった。その名前を読んだ瞬間、声を出して、ウワー、ノリピーや。と叫ぶと、まわりから、何とも言えない、笑いが起こった。その瞬間に、これを一緒に見ている、現場監督のフルカワくんやの設計担当のヤマガタくんや、お施主さんと私が、このまわりを取り囲んでいて、それを眺めている、その様子と、目の前にあるこの「夕焼けの空」という習字とプロマイドと解体現場の情景と、その背景にある社会性を含めたものに、シュールだと想った。そして、シュールな光景やな。と呟いた。

ところで、このシュールっていう表現、これで、エエのかね。ウィッキぺディアによると、

シュールレアリズムとは、超現実主義の事で、「過剰なまでに現実」という意味だとあり、「現実(約束事などに囚われた日常世界)に隣接した世界、またはその中に内包された世界で、現実から離れてしまった世界ではなく、夜の夢や見慣れた都市風景、むき出しの物事などの中から不意に感じられる「強度の強い現実」「上位の現実」である。」と。

今、話題のヤフーの知恵袋で、カンニング的に調べてみると、そのベストアンサーは、

シュールとは、
そもそもは「シュールレアリスム」の略語です。
画家で言えば、ダリやマグリットなどを想像していただければ分かりやすいかと思います。
そこから転じて「現実からかけ離れ、理解し難いもの」などを指す言葉になったようです。
良い意味か悪い意味かは、場面により異なる気がします。
「意味が分からなくてつまらない」 → 「シュールだね」 → ある種の社交辞令
「意味が分からなくて楽しい」 → 「シュールだね」 → 褒め言葉
「何言ってんのこいつ」という場合でも「シュールだね」で穏便に済ますことができる便利な言葉ですが、逆にニュアンスが難しいように思います。

とすると、私のシュールの使い方は誤りなのかもしれない。いやいや、シュールだね。なんて言う表現は、いたって、曖昧で、「私」もよくわからんまま、カッコヨク使っているのだ。という事なんだろうねぇ。その時は、「過剰なまでに現実的」な情景として、捉えていたのだろう・・・・。

こうやって、ヤフーの知恵袋を使って情報を得ようとしていると、なぜか、あのカンニング事件の事がよぎって、「あのカンニング事件には、アフォーダンスがある。」と表現するのは、どうなんだろうかねぇ・・・。と、ふと考えた。おやじギャグ的表現風に言う、アホのダンスという意味ですかぁ。ではなくて、いや、それが大正解かもしれないが、ヤフーの知恵袋では、

アフォーダンスとはなんですか?

身の周りの役立つ情報の事!

という回答で、こんな単純に割り切った回答で、確かに見事ですけど、割り切りすぎな感じで、例えば、答案に書くのには、ちょっと怖い感じ。それで、別の回答を見みると、

アフォーダンス(affordance)
これは、アフォード(afford)「~ができる」「~を与える」などの意味を持つ
動詞をアメリカの知覚心理学者によってつくられた造語である。
このアフォーダンス論を考えると、非常に複雑であり、また問題もあるので
ここでは一部触れることにする。
■アフォーダンスとは
・アフォーダンスは事物の物理的な性質ではない。
・動物にとっての環境の性質
・知覚者の主観が構成するものではない。
⇒環境の中に実在する知覚者にとっての価値のある情報である。
http://www5b.biglobe.ne.jp/~nitti/kaken/3/affodance.html

リンクを見ると、何となく解ったような解らんような。とにかく、「シュール」と「アフォーダンス」というコトバの使い方はムツカシイのだ・・・・。

今週、中古住宅購入のお手伝いをした、その不動産の決済が、滞りなく完了し、建物が引き渡された。その間に、リフォーム工事の設計も並行して行っていて、事前にリフォーム工事の工事契約も済ませていたので、タイミング良く着工となった。建物には、以前の住人の残留物があって、本来なら、内部解体工事が、直ぐに始まるのだけれど、その前に、お施主さんの希望で、地鎮祭のような、お清めとお祓いをする事になった。祭壇には、山の幸や鯛も並んだ、本格的なものだった。

中古住宅を購入する施主にとっては、初めて、住む土地でもあって、その土地の神様に、この場所に住みますよ。と伝えるのが、中古住宅購入での、地鎮祭のような、お清めのような、お祓いのような儀式なんだろう・・・。そのうえに、施主の奥さんが、「もの」には「もの」の命があって、以前の住人のその「もの」達に、壊しますよ。とお伝えするのだと。なるほど、エエ言霊だな・・・・。地鎮祭と同じように二礼二拍手で榊(さかき)をお供えした。

神主さんが、建物の外や屋上、それに各部屋を廻ってお祓いとお清めをする。3階の部屋には大きなポスターがあって、それは、日本ハムのポスターで、清純派アイドルの大きな顔写真だった。よく見ると、なぜか、またもや、ノリピーだった。その写真の方向に向かって、神主さんが、お祓いをした。

いやぁ、その時の光景は、シュールやね・・・。
神主さんによる、地鎮祭やお祓いは、アフォーダンスやね・・・。

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投稿者 木村貴一 : 2011年03月06日 23:18 « 粛々 | メイン | バス宴 »


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