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2011年09月25日

雑誌掲載

穏やかな風。秋晴れ。実にエエ気候。実に心地良い。一番エエ季節のひとつだなぁ。そんな良き日和に、うちの専門工事業者、米田建材さんの息子さんの結婚式があって、主賓として、招かれ、キンチョーしながら、いきなりトップバッターで挨拶をする。もちろん、だいたいは考えていくのだけれど、前に立って話し出してみると、全く違うコトバが浮かんできて、それでも、やっぱり、考えてきた話に戻るものの、三分の一ほどは、予定通りには話せないままに終わる。まぁ、だいたい、そんなもんだな・・・・・。

えっー、結婚式。という、ちょっと、冷めた目の部分も、「私」のどこかに隠れ潜んでいるのだけれど、うちの社員の結婚式も含めて、出席すればするほど、覚めた感覚になって、最後の場面では、目頭が熱くなっていくのは、そんなはずはないのだ。と、言い聞かせてみるものの、涙が出そうになる。きっと、「歳」のせいなのだ。

まぁ、目頭が熱くなるほどのコトではないが、「雑誌掲載」という嬉しい出来事が二つあって、まず一つ目。今月号の「住宅特集」という雑誌の表紙と巻頭の記事になった。今まで、4回ほど、掲載されたが、表紙、巻頭は初体験。すがアトリエの管さん設計で、弊社の守田拓生が現場監督を務めた堺・S邸新築工事で、引き渡しの前の一週間は、現場監督も職人さんも大奮闘だった。工事中の現場の様子はこちら

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設計の管さんからも喜びと、お礼の電話があって、現場のモリタくんや大工さんやこの仕事に関わった様々な専門工事の職人さんの苦労が報われた感じ。ちょうど、この建物の構造設計をした下山さんと、金曜日の夜にお会いするイベントがあって、お互い、握手して、苦労を労った。

そのシモヤマさんのイベントは、大阪市の羽根建築工房さんで開かれたイベントで、シモヤマさんが、木構造について語る、勉強会のようなもの。暮らしの中の構造と題された話は、なかなか、興味深く、ためになったね・・・。そういえば、1985プロジェクトのノイケさんとマイタニさんにもお会いする。

もう一つは、今月号の「BEPAL」の山の宿という特集で、20年来通っている丹沢の「堀山の家」が大々的に取り上げられたコト。丹沢に遊びに行く時は必ずここで泊まっていて、今まで、あえて、小屋の名前をださなかったのだが、雑誌に載ったついでに、この際、もぉエエか。現在の小屋のオーナーとは学生時代からの友人で、一年に一度、丹沢のリースを持って、大阪まで遊びに来てくれる仲。ちなみに、木村工務店のホームページにある、トップで入れ替わる大きな写真の一場面に出てくるリースは、この丹沢の堀山の家のオーナーの奥さんが製作するリース。

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↓ 堀山の家の写真。プロは流石に上手だ。雰囲気抜群。見間違うほど・・・。前オーナーが自力で小屋を増改築する姿を数年間見守り続けた。
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↓ 小屋オーナーの写真。ランプの写真も堀山の家の写真。ここで学んだ、建築的なコトのひとつは、送電線から送られてくる電気エネルギーを使わない生活。
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↓ これで、もはや、オトナの隠れ家でなくなってしまったが、まぁ、それはそれで良しとし、こうなったら、若い人が沢山、堀山の家に訪れて欲しいとおもう・・・・。「堀山の家
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↓「私」が撮った小屋の写真、雑誌のプロの写真と比較はしないでほしいが・・・
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↓堀山の家までの「道」。1時間30分ほどの適度のしんどさで、この小屋からあと1時間30分ほどが頂上。それが、登山の核心部なのだけれど、堀山の家を頂上だとする「頂上現象」組が沢山いて、「私」もそのひとり。ここで泊まって皆でぐたぐたと語りあう。
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書店で二冊の「雑誌掲載」を是非ご覧下さい。それにしても、今夜は寒いぐらいで、過ごしやすい夜だねぇ。・・・・。

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2011年09月18日

番宣

「待宵」「中秋の名月」「十六夜」「立待月」「臥待月」「更待月」と、昔の人は、中秋の名月をメインイベントとして、その数日間、満ち欠けしていく「月」を眺めて、「暮らしを楽しむ」、その姿がカッコエエな。とおもう。それも一日ごとに、いやぁ、実にカッコエエ「タイトル」を付けているのが心憎い。テレビのない時代の「オトナの遊び」なのだとおもう。勿論、女子や子供も楽しめる遊びでもあって、あっ、そうそう、オトコが考えたと勝手に思い込んでいるのが、「私」がオトコだからで、きっと、「遊び」は「オトコ」が考える戯言なのだと、何となく考えているからだろう・・・・。

「待宵」9月11日日曜日。満月をワクワクして待つ、そんな心境になりたいものだが、「月」の事は、すっかり忘れていた。朝、ランニングをし、スパー銭湯に行き、家族はそれぞれ、どこかに出かけていて、ひとり、家で、ゴロッとしたり、ブログを書いたりした。そうそう、この日曜日の夜は、結構な時間を費やしてブログを書いたのだった。今思い返しても、月の記憶がない。

「中秋の名月」9月12日月曜日。夕方からお施主さんとの打ち合わせがあり、その後、社員が日々、掲示板に書く、現場報告を読んでいるうちに時間がすぎ、22時頃、家で晩ご飯を食べている時に、思い出した。「中秋の名月」なのだと。南面の窓を全開にして、「月」を観る。

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「十六夜」9月13日火曜日。夜、コトバノイエのカトウさんと写真家のノモトさんとデザイナーのヤマサキミノリさんと弊社のミカワ嬢の5人で木村家本舗の打ち合わせをする。ノモトさんのキュレイションにより、女性写真家たちの写真展を、大工が構造材を刻む加工場でしようかという企て。デッキに出ると、南東の夜空に、欠けているのか欠けていないのかよくわからない月が出ていて、皆で、眺める。

「立待月」9月14日水曜日。夕方から、grafのカワニシマリさんが、カトウさんに連れられて、電撃的訪問となった。木村家本舗の家の雰囲気を見てもらいながら、あれやこれやと打ち合わせをする。それで、graf 川西万理さんによる茶事をするコトになる。気楽な会話をしながら中国茶を入れて・・・。それが、つまり、「私」は、未体験なわけで、「私」そのものが、どんなものか楽しみにしている状況。打ち合わせが終わり、会社に戻って、事務作業をしたあと、帰り道の道路に立って、欠け始めた月を眺める。

「臥待月」9月15日木曜日。夕方から大今里で、リフォーム工事の契約があって、お伺いする。説明責任という約束事が、ますます大切な時代になっていて、もちろん、何度も契約書を読んで説明をしてきているのだが、いつもながら、あの、契約書の文言は、読みにくいし、内容を説明するのも、ムツカシイものだな。と、毎回毎回おもう。「月」は、帰り道の自動車からなんとなく眺めたのか、全くもって記憶が不安定。

「更待月」9月16日金曜日。夜、材木屋さんの岡房商店の社長がお見えになって、打ち合わせをする。帰られた後、事務処理をしている間に、「月」のコトはすっかりと忘れてしまった。この日、月を見たのか見なかったのか、記憶から完全に欠落している。

月をテーマにして、その満ち欠けを暮らしの中で楽しむ。という、そんな時代に「進む」コトが、ちょっと面白いし、本当に必要とされているのかもしれないな・・・・。と大真面目に考えるようになったのは、あの東北の震災での津波と原発の出来事があってのコトだとおもう。人間のもつ文明とは、文化とは、それはいったい何なのだろうか・・・と。

DSC018179月17日土曜日。「forward to 1985 energy Life」 という大集会が名古屋であって、弊社の設計のヤマガタと工事のトクモトの三人で、一緒に、車で参加したのだけれど、そのパネリストの討論を通じて、「省エネな暮らし」を「お金を使って」大まじめに「楽しむ」時代がやってきたのだ。と、体感した有意義なイベントだった。

ちなみに、夕刻、名古屋で、櫃まぶしを食べて、三人で帰阪したのも楽しい出来事。そういえば、櫃まぶしも一杯の鰻どんぶりを4回に分けて、それぞれの食べ方で楽しむ文化で、月の満ち欠けを楽しむ文化と似通っている。そうそう、「月」のコトは頭の片隅にもなかった・・・。この日は、月の正式タイトルがないので、まぁ名付けて、「忘月」。
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あれやこれやで、「月」をモチーフとして、まったくもって、こじつけがましいが、「コトバノイエのカトウさんとキムラコウムテンのキムラさん」が、「暮らしを楽しむための大まじめなオトナの遊び」としてやってみようよ。というコトで、始まった「木村家本舗」も第二回目になった。そのスケジュールが決まったのだ。と云いたいがための、お「月」様。


||||||| 木村家本舗 BOOK IN RESIDENCE 2011 ||||||||
10月の週末のオープンホームとライブラリー
10月8日/ 9日/10日/15日/16日/22日/23日の7日間
OPEN : 11:00 - 18:00
下町の長屋をリフォームした木村邸で、オープンハウスと古本屋をやってみようということで昨年企画した「木村家本舗」。
それが思いもよらぬ盛況となり、調子に乗って第2回を催すことになりました。
去年と同じことを繰り返しても面白くないので、今年はもう少し進化させて「オープンホームとライブラリー」と称し、木村家の心地よい空間で、ゆったりと寛いで本でも読んでいただこうと企画しました。
また、ご来場いただいた方に愉しんでいただけるよう、去年はなかったドキュメント・ムービーの上映、建築家相談会、写真展、お茶会、トークショーなどのイベントも予定しております。
みなさまお誘い合わせの上お越しいただければ幸いです。
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EVENT SCHEDULE
<10月08日>
■ オープニング・レセプション 17:00 - 21:00
<10月09日>
■ 「世界の中心で、イエーッとさけぶ / the movie」12:00 - / 16:00 -
JIA近畿支部住宅部会の7月例会として開催された建築トークショーのドキュメントを上映します。
■ 建築家ってどんな人たちなんだろう? 14:00 - 17:00
これから住宅を建てたい、建築家の設計した家で暮らしてみたいと考えている人のために、ふだんあまり接する機会のない建築家の方と、話していただける場を設けました。
参加建築家 : 林敬一 / 高山佳久 / 近藤英夫
<10月15日>
■ 写真展 「tri - angle」at 加工場Photo Gallery 11:00 - 18:00
写真家ノモトヒロヒトさんのキュレイションによる、気鋭の女性写真家たちの写真展。
ふだんは鑿や金槌の音が響く加工場の空間に、女性ならではの繊細な感覚の写真が展示されます。
参加写真家 : 多田ユウコ / 詫間のり子 / 山元彩香
<10月16日>
■ 写真展 「tri - angle」at 加工場Photo Gallery 11:00 - 18:00
■ graf tea salon et autum garden 11:00 - 17:00
茶事 : graf 川西万理
「秋の庭。山茶花が咲く頃。あたたかな香ばしいお茶や秋の果実を使った甘いお菓子をどうぞ。木村家の庭にて深まる秋のアフタヌーンティーをお楽しみくださいませ。」
■ Traveling Library 大村家本舗 at 駐車場 11:00 - 17:00
好漢大村クンが、愛車ルノー・キャトルに古本を積み込んでやってきてくれます。
<10月22日>
■ トークショー「モノづくりのプロセス、そして未来」
服部滋樹 X 木村貴一 at 木村家ガーデン 19:00 – 20:30
大阪を代表するクリエイティブ・ユニット「graf」を率いる服部滋樹と大阪の下町生野区で3代続く工務店を経営する、木村家本舗店主木村貴一によるトークショー。
料 金 : 1,000円(1ドリンク付)
茨木市 cafe 百花 による珈琲のケータリングがあります。
予 約 : 06-6751-4414(木村工務店 参川まで)
<10月23日>
■ クロージング・パーティー 17:00 – 21:00
感謝をこめてのささやかな宴、そして木村工務店の新しいプロジェクト「まちのえんがわ」のお披露目。
|||||| 会期を通じての展示 ||||||||
■ graf / Narrative 11 この秋発表されたグラフの新作家具
■ ツタイミカ / マンガ皿
■ 写真家 ノモトヒロヒトの新作シリーズ発表


こんなスケジュールで、ちょっと私的解説を加えてみると・・・

graf / Narrative 11:開催期間を通じて、grafの家具が体験出来ます。実際の生活をしているスペースで、家具を体験出来る、それもgrafの家具。是非是非、体験を。

ツタイミカ / マンガ皿:不思議なお皿をつくるヤベガールです。建築家ヤベさんがプロデュースをする女性クリエーターのコトを「やべガール」と呼びます。ツタイミカさんは、JIN's EYEWEAR DESIGN CONTEST 2008 優秀賞、第17回アイリス生活用品デザインコンクール 学生奨励賞、Tokyo Midtown Award 2010 柴田文江賞という1988年生まれの女性デザイナーです。暮らしの中にあるマンガ皿を体験ください。

ヤマザキミノリ/ 木村家本舗のフライヤーとフリーペーパー:やべガールのひとりで、イラストレーターです。YCOJIWAという不思議なホームページをご覧ください.。ご来場頂いた方々に、お持ち帰り頂ける「ペーパー」を、ただ今製作の真っ最中なのです。ガンバレヤマサキミノリ!

写真家 ノモトヒロヒトは、酒飲みで、酔っぱらいですが、眼差しは真摯です。風貌を遙かに上回る、カッコエエ写真なのです。是非、彼のホームページをご覧ください。さてさて、常設展示は、どんな作品が展示されるのか、楽しみです。


オープニング・レセプション 10月8日(土)17:00 - 21:00は、夕方ぐらいから、生ビールとおでんによる、気楽なパーティーです。木村工務店の社員も出入りするでしょうし、OBのお施主さんなど、久しぶりに、○○に会いたい。と思われる方は、是非この日かクロージングパーティーにお越しください。

「世界の中心で、イエーッとさけぶ / the movie」10月9日(日)12:00 - / 16:00 -は、この木村家本舗のプロデューサーである、カトウさんが、コトバノイエと呼ばれる自邸を建てるにあたって、建築家のヤベさんとの出会いから、その家を建てるエピソードを「施主」の立場から語る貴重なトークショーの録画ビデオです。建築家との家づくりをする「施主」になろうかどうかと迷っている皆さんにとっては必見のビデオです。是非、参考にしてご覧ください。

建築家ってどんな人たちなんだろう? 10月9日(日)14:00 - 17:00 は、弊社で施工をした建築家のタカヤマさんとハヤシさんとコンドウさんが、お見えになります。具体的な家の相談も出来ますし、建築家って、どんな人なのか、会ってみて、簡単な会話でもしてみたいと思われる方は、気軽にお越しください。本のついでに、チラッと見るだけもOK!です。

そうそう、

yabetatsuya9:25pm via Web

木村さん、やべガールの説明ですが、建築家ヤベさんがプロデュースする女性クリエーター、じゃなくて、やべがナンパした元女子大生、に訂正お願いします。

と「ヤベ」さんからツイートがきた。見た目は取っつきにくいが、ヨッパラうと、実に、楽しいヒトなのだ。「建築家ってどんな人たちなんだろう」には、仕事があって、「出演」できないのが、とっても残念。この場で、皆さんにご紹介しておく。

写真展 「tri - angle」at 加工場Photo Gallery 10月15日(土)と16日(日)11:00 - 18:00 は、多田ユウコ / 詫間のり子 / 山元彩香 は、かなり有名人の女性写真家ですよ。とキュレイションをした写真家のノモトさんが、お酒を飲みながら、でも、真剣な眼差しで、語っていました。「私」は、まだ作品を見たコトはないのですが、楽しみです。それより、カミングアウトすると、写真のコト、全く理解できてません。そういえば、購入できる作品もあるそうです。ちなみに、多田ユウコさんは建築家のタカヤマさんの建築写真も撮影してはりますし、前回の木村家本舗にもお越し頂きました。彼女の摩訶不思議なコトは、時々、巫女さんになるのであります。

graf tea salon et autum garden 茶事 : graf 川西万理 10月16日(日)11:00 - 17:00 は、grafの川西万里さんが、中国茶を野点しながら、心地よい会話と共に、ゆったりと楽しくお茶を飲む、茶事です。実は、「私」も未体験で楽しみなんです。

Traveling Library 大村家本舗 at 駐車場 10月16日(日)11:00 - 17:00は、d&bという工務店で現場監督をしている大村くんが、愛車ルノー・キャトルのトランクに古本積み込んで、木村家本舗横の駐車場で古本を販売する企てです。昨年の木村家本舗にもやってきてくれました。

トークショー「モノづくりのプロセス、そして未来」 服部滋樹 X 木村貴一 at 木村家ガーデン 茨木市 cafe 百花 10月22日(土)19:00 – 20:30 は、grafの服部さんと「私」という、「ものづくりの組織」を持つ二人の、「模索と格闘」のトークショーです。司会はカトウさんで、きっと鋭い質問と突っ込みが飛んでくるのだとおもいます。要予約なのですが、当日でも大丈夫、OKでしょう?・・・・。でも、出来れば予約してください。

クロージング・パーティー 10月23日(日)17:00 – 21:00は、このプロジェクトに関わった人々を含めて、感謝と&Love&Peaceな宴として、賑やかに楽しくやりたいとおもいます。 建築家の人も集まるでしょうし、社員や、いろいろ・・・。


木村工務店の新しいプロジェクト「まちのえんがわ」のお披露目10月23日(日)は、木村工務店が、まちの人々と「繋がり」を持つための「縁側」としての「まちのえんがわ」であり、「まちのライブラリー」でもあります。また、イベントを発信するスペースであり、建築家と出会えるスペースでもあり、木村工務店の仕事を伝える場所であり、木村工務店に関わる人たちが、住まいに関する「専門知識」を皆さんに分かり易く解説するために努力するスペースでもあります。まだ、工事中で、本も並んでいない状態なのですが、そうそう、これから急ピッチで進めなくてはなりません・・・。

あっ、そういえば、「まちのえんがわ」は、「キムラさんの頭の中身」だといわれました。

そんな訳で、「まちのえんがわ」は、月の満ち欠けを楽しむお月見の文化のように、「ものづくりのプロセス」を楽しみ、伝える縁側です。また、木村家本舗から繋がる、「暮らしを楽しむ遊び心」をもった文化を広げる、「木村工務店の縁側」でもあります。

つまるところ、今日のブログは「木村家本舗」と「まちのえんがわ」の「番宣」なわけで、皆さん!よろしくお願いします・・・・!

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2011年09月11日

ちょい「脱皮」

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設計のマイタニさんに、キムラさん、これ知らんかったら、「もぐり」やでぇ!と暫くの間、脅されていた。神戸市の箕谷駅から呑吐湖の側に、「箱木千年家」という住宅があって、ウィッキベディアでは806年に造られたとあり、実際は1400年代に建てられたのだと、本にはあって、まぁ、そんなコトより、兎に角、最古の住宅らしい。

この土曜日。実は、先週のあの台風の日に、マイタニさんと学生とで行く予定だったのだが、延期になった。「私」的には、打ち合わせがあったのだけれど、この際、「もぐり」という汚名を返上すべく、お施主さんや弊社のスタッフに助けられて、何とか時間を工面し、マイタニさんの解説付きで、学生と共に訪問した。
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DSC01423建築架構的には、壁の90センチほど手前に木組みの架構が四方に廻っていて、架構と外壁という構成になっていたのに興味がそそられる。それで、上記の写真のような、柱と壁による空間が発生し、それは、まるで、「床の間の発生」を垣間見たような気分。

外に居るだけで、汗をかく、9月なのに暑い日中の土曜日。なのに、中に入ると「ひんやり」としていた。それは、なぜなんだろう。とマイタニさんとちょっとした論考をすすめながら見学する。室温そのものは、外気温と、そんなに大差はないのだが、内部の土壁と土間に触れると「ひんやり」しているのだった。体感温度は室温と内壁床天井の表面温度との二分の一だそうだ。室内の表面温度が低いので、体感温度が低く感じるのだろう。

外が、これだけ、暑いのに、なぜ、クーラーもないのに、土間と内壁の表面温度が低いのだろうか。と話し合う。夜間に室温が下がって、土間と土壁の温度が下がる。昼間は太陽熱で屋根や外壁の温度が上昇するが、茅葺きの厚みや土壁の厚みのおかげで、その熱が内部まで伝わらず、いわゆる、夏期日射取得係数μ(ミュー)値が低いので、室内の壁や土間の表面温度が夜間の低温を蓄えたままになる。その上、開口部が極端に少ないので、日射もほとんど入らない状態。また、天井がかなり高く、熱気を排出しやすい仕組みになっていて、室内が夜間の温度をキープしやすい状況なのだ。と。冬は囲炉裏や竈などで、熱を造って、壁に熱を蓄えるのだろう。風通しの良い家とは違う、夏、涼しい家の原型なのかと考えてみる。

そうそう、外壁は、大壁といわれる、柱が見えない壁。プリミティブで原始的な感じ。昨年のゴールデンウィークに旅して訪れた、尖石縄文遺跡にあった竪穴式住居と似通っていって、大地から土の壁がニョキッと盛り上がって屋根を支えているような感覚。それにしても、この当時すでに「縁側」があるのだな。と、今、写真を見比べて、再認識する。

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上の写真は、千年家のその横に、江戸時代に造られた住居が併設してある。こちらは、開放的で、千年家が、「土壁」が盛り上がった感覚なら、こちらは、「柱」が大地から立ち上がった感覚。ちなみに、千年家の柱や梁や床材は、チョウナといわれる道具で、加工されていて、木材にその跡が残っているのが荒々しくて男性的。柱も太くて少し歪で、表面もガタガタで、面取りも大きい。それに比べて、こちらに使われている木材は丁寧に鉋がけがされていて、所謂、柱が光っていて、面取りも小さくて真っ直ぐ。同行した学生が、こちらの方が好きですわ。と言ったように、モダンな感覚。

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右が千年家で、軒高も低く土壁。左が江戸時代の建物で、外壁は建具と板貼りで開放的で、軒高も高くなっている。この二つの建物の造られた年月の間には、大工道具の技術革新があって、オガと台鉋(ダイガンナ)と云われる大工道具の発明がエポックメイキング。

木を縦に切るのは難しくて、それまでは、木を石のように、楔で割って、出来た木材をチョウナという道具を使って表面加工をしていた。それが、オガといわれる鋸(ノコ)の出現によって、木を縦に切る技術革新がもたらされた。木から柱や梁や板材を鋸で切り取れるようになって、それまでは、木の表面がガタガタだったので、チョウナしか使う事が出来なかったが、台鉋といわれる道具が発明され、今、大工さんが持っているのと同じ鉋を使って、木材の表面を平滑で綺麗に加工が出来るようになった。また、オガを使う木挽きという職業が生まれて、柱材や板材を量産出来るようになって、室町江戸時代のあの町並みが生まれたのだ。と。これ、「村松貞次郎の大工道具の歴史」からのうけうり。因みにこの本は木村家本舗のプロデューサーでもあるコトバノイエのカトウさんから頂いた。

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それにしても、歴史の隙間を垣間見る感覚。

 

 

江戸時代に建てられた「はなれ」の内部は開放的で、土壁や板壁に囲まれた「千年家」を見た後に比べると、障子や襖といわれる「建具」というもので部屋を区切ったり繋げたりする、その「日本的感性」と、外部空間と内部空間の間を繋ぐ「縁側」の広がりに、あらためて気付かされる。
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↓ 左 江戸時代の座敷 _____________↓ 右 千年家の囲炉裏の部屋
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なぜか、千年家の部屋の方が新鮮に感じられ、この感覚の違いが面白い。左の畳と右のチョウナで削られたガタガタだがあじのある床。ちなみに、下の写真がチョウナ


上の左が北斎の富嶽三十六景の遠江山中図で、木挽きがオガで縦に木を切る姿。右上がオガで下が台鉋。これらが技術革新をもたらした大工道具だというのだ。室町江戸時代の座敷の鴨居や長押や柱は台ガンナがあってこそ生まれた室内空間だと・・・・。ところで、北斎のこの絵を見ていると、このお盆に見た、馬頭町広重美術館の広重と隈研吾の建築を唐突に思い出したのだが、それはまた・・・・。
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そんな訳で、ちょい「もぐり」のキムラから、ちょい「脱皮」をもたらしてくれた、箱木千年家見学だった。

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2011年09月04日

「まちのえんがわ」というプロジェクトを進めていて、DSC01225木村工務店の1階にある車一台分の車庫スペースに、「衣食住」の「住」に、興味と関心を持つ皆さんに、住まいに関する「専門知識」を、セレクトされた雑誌や本やカタログを通じて提供し、「まちのライブラリー」として、縁側のような場所を造りだそうとする試みで、ただ今、大工工事の真っ最中。

土曜日、台風が近畿地方に接近し、大阪市内では、予想に反して雨は多く降らなかったのだけれど、そうそう、そういえば、先週の土曜日に突然襲った、あの集中豪雨の方が、凄くて、何でも一時間の大阪の降雨量としては記録的な数字だったらしい。

P8270037その影響で、会社の前には水が溢れ出し、長靴を履かないと歩かれない状況になって、20センチほど道路に水が溜まった。車が通過すると、その勢いで、まるで津波のように水が、ドバッと押し寄せてきて、工事中の「まちのえんがわ」にまで水が進入し、慌てて、倉庫にある土嚢袋を取りに行き、積み上げて水を食い止める。

その台風が過ぎ去って、どんよりした天気の今日の日曜日の朝。突然雨に降られるのもイヤだな。という、ちょい弱気な気分になって、毎週恒例の日曜の朝のランニングは止めた。結局、その1時間ほどの間は曇ったままだったので、それなりの後悔も沸き起こった訳で、まぁ、そんな時もあるわな。などと、心が心を慰めている状況。

この5月に庭に植えたシロツメ草が、一面の緑になって、カッコ良かったのに、夏の暑さと、落ち葉の手入れを怠った影響かで、緑がまだらになり出した。ランニングもしなかったので、シロツメ草の間に絡まった落ち葉拾いを1時間ほどする。「庭仕事」のようなコトは、ほとんど経験がないのだけれど、しゃがみ込んで草と土に触れながら過ごす一時間は、ランニングと同じように、終わった後は、しんどいけれど心地良い気分になれるのだ。ってコトを知ったのが嬉しい収穫だった。

そうこうしている時に、コトバノイエのカトウさんが、建築図書専門店の柳々堂さんの女性店主を連れてお見えになった。何でも100年以上も続く建築の専門書店だというのだから敬服する。コーヒーを飲んだり、食事をしたりしながら、「まちのえんがわ」に置く建築専門書のアドバイスをもらう。実にためになる話だったなぁ・・・。ご協力に感謝。

お昼を過ぎてから、建築家のヤベさんのご紹介で、「マンガ皿」という不思議な作品をつくるツタイミカさんと「よこじわーるど」というFreeペーパーを制作するヤマサキミノリさんが、コトバノイエのカトウさんプロデュースのもと、うちの家にお見えになる。二人とも20代の女子。先週に告知をしたように、今年も木村家本舗を催すコトになり、そこに、「マンガ皿」の展示と木村家本舗フリーペーパーの製作を依頼するコトになった。

50代のオッサン二人と20代前半の女子二人が、テーブルを挟んで、コーヒーやお茶を飲みながら、「大まじめな遊びの催し」について語り合うその姿。その時は、何とも思わなかったが、今こうして、文章に書いてみると、ちょい不思議な光景だたのかもしれない。隣の部屋で、奥方や息子が聞き耳をたてながら、このエエ年したオッサン二人の姿を滑稽に見ていたのだろうか・・・・・。

カトウさんの持つハブ機能によって、三人の女性と縁をもった楽しい日曜日だった。

「まちのえんがわ」も「木村家本舗」も当然ながら、建築空間との関わりが大いにあって、勿論、工務店をしているので、建築空間には興味があるわけで、大好きなのだけれど、旅に行っても建築を見るのだな。とオモワレルと、意外とそうではなくて、建築を見るコトを意識して旅に組み入れるようになったのは、ここ5年ほどのコト。なぜか、奥方や息子がそれなりに建築に興味を持つようになっていて、旅の中のひとつのイベントとして、「一緒に建築を見る」という時空間が案外楽しい。とようやく最近気付いたのだった。

このお盆の気仙沼・那須・東京の旅では、那須の二期倶楽部と隈研吾三部作といわれる建物と七石舞台という作品を見る。松岡正剛・内藤廣・和泉正敏の三人による七石舞台というのが那須の二期倶楽部にあって、朝食を食べた後、朝の七石舞台を見学する。その「場」の雰囲気とディテールが独特でとっても不思議な感じ。

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石と石の間で、緑を映し出しているのがステンレスで、周りの緑をそのステンレスが取り込んで、それが、石との組み合わせで、不思議な浮遊感を醸し出す。石とステンレスが自然な形のままぴったりとくっついている、その技術の高さにも驚かされるが、朝日がそのステンレスに反射するので、その上に立つと下から顔にライティングがされたようになり、とっても不思議な雰囲気をもつ顔としてステンレス面が反射する。

家族三人がそのステンレスの上に立って、記念写真をお互いに撮りあうという、超ベタベタな家族写真撮影会を楽しむ気にさせる、摩訶不思議な舞台。奥方など、息子に向かって、ここで、結婚式したらエエのに。と言う。確かに、結婚式の舞台としても使用するらしい。ちなみに石の製作者の和泉正敏さんとは何度も面識があって、うちの会社の前にある石のオブジェは、和泉さんの作品。

七石舞台は、石とステンレスと周囲の自然環境とそこでの催しや宴がひとつの「縁」として結ばれていくような雰囲気。「木村家本舗」も「まちのえんがわ」もそんな「縁」を結ぶ空間になれればとおもう・・・。

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