2012年01月15日

写真力

IMG_2748IMG_2733土曜日。夕方、小路から神戸元町まで電車で行く。近鉄線が阪神線と合流し、奈良から三宮まで直通で繋がったと聞いていたけれど、乗車したことがなかった。それで、鶴橋から近鉄線に乗り、阪神線に繋がるのをへぇーっほぉーと、ちょっとした嬉しがり気分で、電車に乗る。何がオモロイのか理解できないけれど、電車に乗るだけで楽しい時が、確かにある。

昨年、木村家本舗で女性3人の写真展を開いて、写真展というものに全く興味がなかった「私」というこの存在が、コトバノイエのカトウさんの企画と、それを受けて、写真家のノモトヒロヒトさんのディレクションによって、3人の女性写真家が選ばれて、その数々の写真を見て、少しは写真に興味がもてるようになった。
IMG_2746
その3人のうちのひとり、この上の女性の写真を撮った山元彩香さんの写真展が元町であって、それを見に行くための電車乗りだった。彼女は20代の女性で、リトアニアまでひとりで出かけて、森で、女性の写真を撮るのだと。会うと、ほんとうに普通のカワイラシイ女の子なのに。何が彼女をそうさせるのか、不思議な感じ・・・・。

「写真を買って家に飾る」なんていうライフスタイルを考えたことがなく。山元彩香さんから、家に飾ってよぉ。と云われても、それが、そのぉ、見ず知らずの女性が、うちのダイニングの壁に飾られて、食事しながらそれを見ていると、その子の人生を考えるやん。とぼけてみる。寝る前に、ダイニングの電気消したときに、その写真から、出てきたりせぇへん。と突っ込んだりする。そんな事ないです。今度写真持って行きますから飾って下さい。と云うのだが、果たして、「写真家の写真があるLIFE」とはいかなるものなのか・・。

何て云う話を元町の中華料理屋さんで、木村家本舗の写真展をディレクションしてくれたノモトヒロヒトさんも交えて、ほとんどが30歳までの若い男女15人ほどが、中華の廻る円卓を囲みながらワイワイガヤガヤ。「私」は飛び抜けて最年長。それで、冒頭の写真が、そのノモトさんの写真。「LIFE」というシリーズ。ブルーのダウンを着ているのがノモト氏。握手をしている女性がヤマモトアヤカ氏。

それにしても、あの震災を真っ正面から撮影した建物のファサードはとってもインパクトのある写真だとおもう。昨年の夏に気仙沼に行った経験の中で、確かに、建築好きな「私」という存在の一部に棲息している私の中の誰かが、ファサード、撮りたい。真っ正面から撮りたい。と呟いていたが、周辺に漂う「沈黙」によって、堂々と写真を撮れる勇気、いやいや、勇気と云うよりも、その行為によって畏敬の念を失うコトへの震えなのだろう、道で、写真を撮ることなど全く出来なかった。ノモトさんは、おそらく、心の中に去来する、もっと様々な葛藤の中で、ファサードを真っ正面から、ある意味、堂々と、客観的に、撮ったのだろう・・・・。

IMG_2738円卓のテーブルから、チンジャオロースや、ハルマキや、スブタや、ギョウザや、などなど、けっこう美味しかった中華をぐるぐる回して取りながら、そんなコトを問いかけてみる。すると。実は、この写真を発表するにあたって、住まわれている人、一軒一軒を尋ねて、許可をもらいに行ったのだという。もう今は、完全に撤去されて跡形もなくなってしまった、冒頭の写真のファサードの持ち主は、おじいさんが造った建物なのだと、涙を流して、喜んで、許可してくれた・・・・と。 ノモトヒロヒト写真展LIFEのページを一読してみて下さい。

写真力か・・・。

投稿者 木村貴一 : 2012年01月15日 23:06 « お餅つきと日本的文化 | メイン | 天狗倒し »


Share (facebook)