2012年03月11日

3・10初午祭

DSC083703月10日土曜日の夕方から、社員と大工さんや協力業者の職人さんたち約75名ほどが集まって「初午祭」という安全祈願祭をする。何時の頃からか知らないが、昔からお稲荷さんが会社に祭ってあって、氏神さんの清見原神社の神主さんにお祓いをしてもらい、玉串の奉奠と神酒を頂戴し、安全祈願をした。

勿論、それだけでも良いのだが、この機会を利用して、木村工務店の現場で働く職人さん達と、同じ価値観を共有出来ればという趣旨で、1時間ほどの時間をプロジェクターを使って、あれやこれや、なんだかんだと説明をする。その後は、懇親会として、おでんとか、汁ものとか、焼きそばなど、もちろん生ビールもあって、それらを社員やうちの奥さんなど、皆で手作りしながら、経費をあまりかけずに、素朴な宴会で盛り上がった。

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こんな事を加工場でやり出したのが、3年ほど前で、それまでは、3階にある会議室で、うちの母親がおでんやおにぎりを作って、もう少し小さな規模で、職人さん達とワイワイとコミュニケーションをしていた。そうそう、父親から社長を受け継いで、それと一緒に、おでんづくりや稲荷祭も受け継いだのだ。こういう「まつりごと」が古くさいとおもう、気持ちもあったのだけれど、やってみると意外にエエもので、場所を加工場に移し、社員で手作りし、パワーポイントを使って、「価値観の共有」なんていう、それっぽい「コトバ」を使うコトで、「今」にあった形式への編集作業とアレンジをした。

こういう、職人さんたちとのコミュニケーションの潤滑油の役目をしてくれる、日本的な「まつりごと」があったお陰で、大工さんも含めて、塗装屋さんや左官屋さんや電気屋さんや水道屋さん、などなど、様々な職人さん達と、木村工務店の「ものづくりの仲間意識」が育まれてきたのだなぁ・・・・・と、今にしてようやく、思えるようになった。

今っぽく、「組織はチームだ。チームで貢献して成果をあげよう。」「コミュニケーションとチームワークと自己啓発と人材育成を真摯な態度で考よう」「情報とコミュニケーションは別物。コミュニケーションが成立するためには体験の共有が必要。大工さんと話をする時は大工の言語をつかい・・・・」などなど、ドラッカー的コトバをふんだんに使いプロジェクターとパワーポイントの助けをかりて語るものの、すでに日本的な「祭」や「政」や「宴会」などを催す事そのものの中に、それらドラッカー的コトバが、「遊び」の要素を含めた「共有体験」を伴いながら、神妙かつ面白可笑しく学ぶ「お祭り」として、存在していたのだなぁ。と感じる。

こんな伝統的な行事を催し、経験している事が、「まちのえんがわ」での木村工務店ワークショップの土台と下地になっているのだろう。ワークショップでは「材料とのコミュニケーション」というのをテーマとして掲げていて、それは、村松貞次郎著の大工道具の歴史にある「材料と対話をしそれをモノにするための対話の通訳者になってくれるのが道具である」というのがモチーフ。

その「まちのえんがわ」は、あの3.11というデキゴトがなければ、誕生しなかった訳で、そのいきさつの一部は、ブログ「穀雨」にあるのだけれど、あの日までは、10年ほど沸々と暖めていた木村工務店の路面店としてのアイデアが、いまひとつ形になりきれず、実現出来る状況ではなかった。

それが、3.11から1ヶ月ほど経過したある月曜日に、温熱環境と1985アクションを主催する野池さんによる野池学校があって、その後の懇親会の居酒屋での事だった。3.11の時に、もし、「まちのえんがわ」のような機能とコミュニケーションの場があると、勿論、その時は「まちのえんがわ」という名前がうまれていなかったけれど、そういう何かが、工務店の機能の拡張としてあれば、どうなっていたのだろうか、何かの役目を担えるのだろうか?という、酒宴の軽いのりと、でも大真面目な話題だった。「私」から皆に、そんなのを作ってみたいと云えると、それは会社の「縁側」みたいなものやね。という返しがあって、宴席が、あーだこーだと盛り上がった。そして、翌日に、ノイケさんからメールで送られてきたのが、こんな写真だった。
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セミナーの後の懇親会という、どちらかといえば、縁側的コミュニケーションに近い居酒屋での会話で、3.11というデキゴトを話題にしながら、曖昧で漠然としたコミュニケーションを通じて生み出されたのが「まちのえんがわ」だともいえる。もちろん、このコトバのおかけで、それまで、曖昧としいたものが、「ひとつの形」になり始めた。

今、3.11があったその週の日曜日に書いたブログ「粛々」を読み返した。あの3.11からの一年間を振り返ってみると、ちょうど、昨日の3.10に催された、安全祈願祭という神事と、最近は使うのに少々の気恥ずかしささえ伴う「絆」というコトバが似合いそうな「ものづくりの仲間」たちとの宴会によって締めくくられたのだなぁ・・・・・。

投稿者 木村貴一 : 2012年03月11日 23:59 « フェースブックな誕生日 | メイン | LIVE! »


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