2012年12月02日

サイクリング

「まちのえんがわ」がオープンしたのは昨年の12月1日のコト。静かにオープンし、静かに1周年を迎えた訳で、それでもそれなりに沢山のひとがワークショップに参加して頂いて、感謝という、ありきたりのコトバだけれど、やっぱり、そんな言葉が、じわっと、わきあがってくる。

2回前のブログ「家族写真」で、オープンした最初の日曜日に住宅風呂巡礼を始めた経緯を書いて、それは木村家本舗が産んだ「縁」なのだけれど、一周年の12月の最初の日曜日の今日に「サイクリング」に行くという、とっても唐突な出来事が降って湧いてきて、それは「まちのえんがわ」が産んだ「縁」なわけ。

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今朝の8時。ヘルメットが全く似合ってない「私」で、我ながら笑うのだけれど、logo_wilierそんなコトはさておき、右のひとがキタムラさんで、イタリアのウィリエールというジロ・デ・イタリアというロードレースで優勝したロードレーサーを販売する営業マンで、かつては、自転車のプロを目指して練習していたそうな。そのキタムラくんが、自転車で生野区小路界隈を走っているときに偶然「まちのえんがわ」を見つけて、ちょうどその日が田中共子さんによるステンドグラス製作のワークショップ開催日だったので、その雰囲気を見て、唐突に参加します。なんていう感じて、突然即決のワークショップ参加者になった。

そんな縁で、その後も何度か「まちのえんがわ」を訪問してくれて、ロードレースを応援するためにイタリアに何度か行っていてる時の話題などで、話がはずんだ。ある日、「まちのえんがわ」でキタムラくんと話をしていると、「自転車貸しますから一緒にサイクリングに行きましょぉ」と軽やかなお誘いがあった。その時、一瞬、脳内をよぎったのが、一年前に、温泉ソムリエぐっちに、「住宅のお風呂をめぐりましょぉ」と軽~い気持ちで誘って、軽やかに即決の「はい」という返事がきたその場面だった。物事の因果関係の法則からすると、ここで「私」が軽やかに「はい」と答えることが、「全体の流れ」を止めない「礼儀」なのだと、なぜか瞬時に、そう思った・・・・。

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いろいろな事情が重なって、今日という12月の最初の日曜日がサイクリングの日となったのは、住宅風呂巡礼から続く「流れ」がそうさせたのだと、こじつけたい気分なのだけれど、それに気付いたのは、このブログを書き始めたつい先ほどの事。それはともかとして、こんな美しいイタリアンデザインの自転車を3日ほど前に、わざわざ持ってきてくれて、26万円ほどもするカーボン製だという、そんな高級品を、「まちのえんがわ」や会社に置くわけにもいかないので、保管のために、家の玄関に置いていたのだけれど、玄関扉を開ける度に、カッコエエデザインやなぁ・・・と、3日間、呟き続けた。

「サイクリング」というコトバで、「私」が連想したイメージは、長男が幼稚園の時に、補助車輪を付けずに自転車に乗る練習をするために、子供自転車を車に乗せて、明日香まで行って、私たち夫婦はレンタサイクルを借り、石舞台などなどをサイクリングし、長男は、夕方になる頃には、補助輪を使わずに自転車が乗れるようになっていた。楽しい想い出。津和野で家族4人でレンタサイクルを借りてサイクリングした。きっと最初で最後の家族4人揃って自転車に乗った楽しい想い出。能登の大島海岸の砂浜をわざわざキャンピングカーに自転車を積んで持って行って、早朝砂浜をサイクリングした想い出。そんな感じで、「サイクリング」というのは歩くよりはスピードが出て、行動範囲が広がる、楽しい散歩。ぐらいのイメージしかなかった。それで、軽やかな気持ちで参加表明をした訳。

紅葉の京都までサイクリングして、珈琲でも飲んで、それなりに心地良い疲れで帰ってくる。なんていうイメージだったのだが、貸し出された自転車とキタムラくんのメールから発散する雰囲気が醸し出すのは、どうも、「スポーツ」としての「サイクリング」なのだ。えっ、山を登るらしい・・・。十三峠・・・。信貴山・・・。のどか村・・・。あれっ?、大丈夫?、そんな訳で、この日が近づくに連れて、ちょっとした緊張感が、体と心のどこかに宿りはじめる。そうそう、車で走っている時に、よう、こんな坂、自転車で、登りよるなぁ・・・。って呟くときがあるのだけれど、その呟かれる側になる覚悟など、今日の午前中に自転車で坂を登って、車で追い越されるまで、まったくなかった訳ですから。

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つまるところ、こんなコースを走った。途中でIPHONEの調子がおかしくなって、距離と時間とポイントがずれているのだけれど、走行距離約50km、走行時間5時間、350mほをど登り降りしたらしい。十三峠の坂道では多くの登坂するサイクリストに出会って、会話をした。全くいままで縁もゆかりもない趣味とスポーツの世界の人たちだった。十三峠の登り口で出会った5人組のサイクリストに、キタムラくんが、このひと、初めてサイクリングを経験するんです。この坂これから登るのです。と紹介すると、全員が一斉に、えー、それはちょっと無茶ですわ。と感嘆とも非難とも応援ともとれる歓声。まぁ、初めてやったら、峠までで、3回足付いてもよろしいですよ。という、笑顔の応援メッセージをもらう。もちろん、笑顔でありがとう!頑張りますわ。と答えるものの、「私」、ほんとうに、それがどんな事を意味するのか、その坂を登るまで全く理解できていなかったわけです。

サイクリストの呪縛どおり、3回自転車を降りて休憩をし、頂上少し手前の坂ではその5人のサイクリストが峠から気持ちよさそうに坂道を下ってきて、もう少しですから、頑張って!と、励ましを頂戴する身分と状況な「私」であったわけで、皆さんの想像通りのへろへろな状態で、峠の展望台にたどり着く。兎に角、足と腰はがくがく。でもなんか、いっぱい呼吸したので、太もも以外は、不思議に元気なんです・・・・。

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奈良の三郷町方面に抜けて信貴山でお饅頭を食べて休憩し、のどか村に向かう。もう下りばっかりだと思っている時にあらわれる登り坂の憎たらしいこと憎たらしいこと。ついに自転車を降りて坂道を数百メートル歩いたりして、またへとへとで、のどか村に到着。今度は、ほんとうに下り坂だけ。それも堅下の葡萄畑沿いのかなり急な坂道を爽快に下るものの、慣れないハンドルの姿勢で、腕も、それにサドルが、なんかワタシのお尻の形に合わなくて、座るのも辛いぐらいに痛くなる弱気な状況。

しんどそうなコトバばかり表記しているのだけれど、「まちのえんがわ」に帰り着いて、終わってみると、しんどくてもメチャクチャ楽しい「スポーツサイクリング」を体験したのだ。という、とっても「ハイ」な気分で満たされている「私」で、ここは、やっぱり、大阪人らしく、キタムラくんおおきに。

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そうそう、前回のブログが「意味」の「変化」だった訳で、キタムラくん曰く、イタリアでは、「お金持ちが自転車をし、貧乏人がサッカーをする」なんていう言われがあるそうです。とか、十三峠は大阪サイクリングのメッカなのだ・・・。という話をしてくれて、とっくの前から「サイクリング」というコトバが指し示す「意味」が「変化」している事に全く気付いていなかった「私」なのでした。

投稿者 木村貴一 : 2012年12月02日 23:49 « 加工場とカマド | メイン | 「意味」の「変化」 »


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