2013年06月16日

ものづくりの記憶

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上の写真は、うちのダイニングで、「白と赤と黒の三色の漆喰」を、金コテで磨き仕上げにして、自ら制作し、家に飾れば、きっと、「なんちゃって現代アート」だな・・・。なんていう軽い「のり」から始まったのが、今日の左官ワークショップ2013だった。

昨年は、「光る泥団子」を作って、それはそれで、好評で、とっても楽しかったのだけれど、そういえば、そのワークショップのお陰で、神戸のNHK文化センターで、出張ワークショップをする事になり、そのことは、いつぞやのブログにも書いたのだけれど、それが、それなりの好評だったらしく、西宮と梅田のNHK文化センターで、7月と8月に、子供さん向けの光る泥団子ワークショップを開催することになった。

そんな事情もあって、「まちのえんがわ」には、「加工場」という、独特のものづくりの環境があり、それゆえに、文化センターの教室のような環境では決して出来ない、左官ワークショップはないものかと、「私」の脳のどこかの一部が、呟き始めた・・・・、そのうち、その呟きは、より本格的な左官の作業がエエでぇ!という声となって聞こえてきて、それで、そうそう、左官の仕上げの素材や色を決める時に、左官仕上げの見本板のような「モノ」が昔からあって、あんな感じで、皆で塗ればエエのではないの!と、語りかけてくるのだった。

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IMG_4893以前に、谷口智則さんと絵を一緒に描くワークショップをし、その時、うちの奥方が製作した作品が、うちのダイニングに、ずっと飾ってあって、それはそれなりの、妙な良さがあり、「ものづくりの記憶」のようなものが、壁に宿っているというのだろうか、素朴な微笑みをもたらしてくれる・・・・。

左官の見本板のようなモノも、額縁を付けて、作品とすれば、その日、その時、その場所で、左官材料と対話をしながら、一生懸命に作った、そのモノづくりの記憶が、ひとつの作品として、時間の記憶とともに封じ込められて、額縁の中に宿るのかもしれない。それが、左官として、もっとも高度なテクニックのひとつでもある、漆喰の磨き仕上げを、「普通のひと」たちが、プロに負けじと、完璧な仕上げを目指しながらも、自分のテクニックの不完全さに、いやおうなしに対峙させられたりするわけで、時には、面倒くさくなって、丁寧さを失って、白の漆喰の中に、黒の漆喰が混入したりする。それでも、それを受け入れて、最後まで放棄することなく作りきって、作品として残すところに、こういうワークショップの良さがあるのかもしれない・・・・。

制作作品としての「ワークショップの記憶」それは、「ものづくりの時間と心の記憶」でもあって、モノづくりをする時に沸き起こる、「面倒くさい」という心の中の葛藤の記憶でもあるのだろうし、「親切丁寧」に象徴されるような、作業への愛情や、丁寧にきっちりとする、きっちりとしたことをする、そんな心の有り様に対する葛藤の記憶でもあるのだろう。それに、ワークショップに参加するという、自ら何かにトライしてみるというような、「自主性」への記憶にも繋がっているのかもしれない。それらを含めたうえでの、ものを創造する喜びのようなものが、記憶として作品に宿り、それが、見る人に、ささやかな微笑みとして、もたらされるだろう・・・・。

ま、そんなこんなで、どんなふうに家に飾られて、どんな印象が、家族や来訪者にもたらされるのか、それが、今回の「三色の光る漆喰壁」左官ワークショップの楽しみでもあって、参加者の皆さまへの感謝とともに、フィードバックも、よろしくお願いします。ね。

追伸
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鎖骨の調子が徐々に良くなってきて、それで、本日のワークショップの朝に、リハビリを兼ねて、朝6時からロードバイクに乗る。と言っても、サポーターが二人、同行してくれて、ひとりは、半年ほど前に木村工務店に、迷い込むような感じで、社員になったオオムラくんで、本日のワークショップのスタッフでもある。それに、「まちのえんがわ」の近くに住んで、ワークショップにもたびたび参加してくれている、ファッション関係の仕事をするYさんで、ロードバイク乗りでもあって、本日の左官ワークショップにも参加してくれている。

二人の同伴者に後方から見守られながらのサイクリングで、「3秒前に戻したい出来事の場所」をかすめるように通過し、ちょっとしたトラウマとも対峙しながらの、33kmリハビリロードバイクだった。3人で、海を見ながら、コンビニで買ったモーニングを食べたりして、ゆっくり過ごしたので、これを「日曜の早朝の適度なスポーツとモーニングのためのサイクルミーティング」と呼べば良いのだろうか。お二人には、「thanks!」とお礼のコトバを述べておこうとおもう。

投稿者 木村貴一 : 2013年06月16日 23:59 « マナカードによると。 | メイン | 3秒前に戻したい出来事。 »


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