2014年06月15日

スタイル

泥団子を作る「まちのえんがわ」ワークショップが午後1時30分からで、その準備のために午前9時すぎに木村工務店の加工場に行き、掃除やなんだかんだしているうちに10時になり、そうそう、ワールドカップサッカーの日本代表の試合が始まるのだ。それで、無料のインターネットTVを検索して、表示されるまでに15分ほどかかってしまい、英語のアナウンスサーが発するホンダという英語的発音を聞きながら画面を見ると、既に日本が1点を先制していた。

写真: 左官ワークショップと思いきや、ワールドカップ鑑賞( ^^)
頑張れ日本!!泥団子ワークショップ講師の山本左官の職人さんのフジムラくんが私の背後で、ワークショップの準備をしながら、実は私、グランパスの一次試験に合格していて、ずっと、サッカーやってたんですけど、やっぱりサッカーのプロは目指さなくて、左官職人になりました。と云う。名古屋出身らしい。サッカーでも、レベルが上がれば上がるほど、要求項目がどんどん違ってくるのですよね。と世間話のように会話をしながら、プロフェッショナルの世界はどんな職業でも一緒やね。左官も大工もレベルが上がれば上がるだけ、要求されるレベルもどんどん上がってくるもんね。なんて、井戸端会議のおばちゃんのようなコミュニケーションをしながらの準備作業が続くいたが、後半に入っても、日本らしい「スタイル」がないまま、コートジボアールに1点取られて、直ぐにまた、2点取られて、あ~ぁ、と一緒にため息ついて、その後、世間話のような会話は弾まなくなり、ワークショップの準備に専念することにした。

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「まちのえんがわ」ワークショップでは、「職人さんに触れる」「材料とのコミュニケーションを体験する」「ものづくりの心に気付く」なんていうのをテーマにしていて、プロフェッショナルのように、如何に道具を上手く使いこなして、美しく早く作るかに焦点をあてるのではなく、材料との触れあいによってものづくりの楽しい時間を共有するのが最大の目的で、そこには、プロフェッショナルとして、クライアントの要求項目に対する日々の葛藤を圧倒的に経験するが故に、シンプルにものづくりを楽しむ参加者の「スタイル」に癒されるのだとおもう。上の写真は43人が自分の「スタイル」を素直に表現しようとしたその成果なのだろう・・・。

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そうそう、今朝、長男が東京から帰省していて、同級生のオオムラくんも一緒にリビングのマレンコのソファーで熟睡している姿があり、どちらともプロとしての建築士を目指しているのだけれど、都合良く泥団子ワークショップにも末席でちょこっと製作しながら、プロフェッショナルとして如何に生きるべきか自分の「スタイル」を模索しているようだった。

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ワークショップ終了後の夜、昨年の木村家本舗でほたる食堂としてお総菜を提供してくれたホタルちゃんが彼氏と共に突然の来訪で、キッチンのカウンターテーブルでホタルカップルと私がコミュニケーションをし、デッキで寛ぐ長男とその友人と奥方が、わいわいがやがやと会話を繰り広げていて、それぞれが、左下の写真のような妙な位置関係をとりながら、様々な会話が錯綜し、コミュニケーションが続いた。リアルな店舗としてのほたる食堂を作りたいという打ち合わせが、設計のヤベさんのお宅であったのが、木曜日の夜の事で(右下)、その延長戦のような打ち合わせが今宵で、つまるところ、ほたる食堂の「スタイル」を皆で模索し、葛藤しているのだろう・・・。

DSC05775写真: カネにならない仕事、の打合せ。

「日本代表」とは、「たらこスパゲッティ」である

ザッケローニは、日本代表監督就任時に、こういったという。「私は、『バランス』のとれた日本代表チームを創る」と。就任以来、彼はまさに終始一貫して『バランス』を大切にしているのだが、その本当の意味を例えた言葉こそが実は、「たらこスパゲッティ」なのである。

たらこスパゲッティ。この未知の料理にイタリア人のザックが遭遇したとき、彼はびっくりしたという。おそるおそる食べてみると、「和」と「イタリアン」がミックスしたその完成度の高さに、再度驚愕したという。

ザックは「同じ選手はいないのだから、他のチームを決して真似るな」と言う。つまり、日本にはブラジルのネイマールもアルゼンチンのメッシもいない。ではどうするか。それが、たらことスパゲッティなのだ。たらこ・のりといった日本の食材の良さを最大限活かしながら、イタリアのスパゲッティと混ぜ合わせ、新しい価値を創る。

プレイヤーは一人一人違う。ないものねだりをしても仕方がない。大事なのは過去の成功というイタリア料理に固執するのではなく、今ある和の素材をミックスしながら、現実に合うように新しく創造していくことだ。

ザッケローには、そんなのを目指しているらしい・・・。日本らしい「スタイル」を模索し、悩んで、葛藤しているのは、スポーツでも、政治でも、ものづくりでも、共通だなぁ・・・・。

投稿者 木村貴一 : 2014年06月15日 23:59 « 雨折々 | メイン | 火山のふもとで。しまなみ海道のもとで。 »


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