2015年11月15日

モーダルコーダルなイス

小雨な日曜日の朝。こんな日はダラダラ寝るのが嬉しかったりする。お昼からは建築家の矢部さんによるケンチク椅子ワークショップがあって、今年で4年目になり、3年連続参加の女性もいて、それなりの人気で、19名の参加者とその同伴者が助け合いながら作業をするなか、うちの大工3名がサポートをしてくて、終始和やかなムードと、誰もが真剣に一生懸命取り組んでいる姿が、エエ感じに相まって、ものづくりの作業音だけが響く、独特の静けさが加工場を包み、そんなのが心地良かったりした。

「仕口がない。トメがない。仕上げがない。」という、ヤベさんがレクチャーで語るケンチク椅子の「コード」に従って設計された椅子を製作すると、初めてビス留め作業をする人であれ、プロの大工であれ、誰もがある一定以上のレベルで造れる椅子で、それを「ケンチク椅子」とヤベさんが名付けて、裏返せば、プロの大工の仕事は、「仕口」といわれる、パズルのような木組みの技術を使って、木と木を繋ぎ合わせて、ビスを使わないのが技術だったりするわけで、また、木の「小口」を見せないようにするために、45度斜めで木と木とを繋ぎ合わせる「トメ加工」といわれる技術を使うのが大工の基本でもあり、それに、木に鉋(カンナ)をかけて「仕上げる」技術は、職人の腕の見せ所でもあり、手鉋をかけた木は独特の艶々した光沢があって美しく、日本の伝統技術で、また、ペーパーで磨くことで、木の触り心地が格段に良くなって、それが安全や気持ち良さにつながるのだけれど、そんなプロの技術を全く使わないで製作する椅子が、「ケンチク椅子」だといえる。

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ケンチク椅子のスタンダードなスタイルに、毎年少しの変化をつけて、それを「モード」と呼ぶなら、昨年は座面にクッションを付けるモードで、今年は、脚の一部に白いペンキを塗った白いソックスのモードで、ケンチク椅子というある決まり事をケンチク椅子「コード」と捉えると、そのコードによって造られた「スタンダード」な椅子に、その年の流行のモードを組みあわすというのが、ヤベスタイルなケンチク椅子ワークショップで、さてさて来年はどんなケンチク椅子「モード」が生まれるのか楽しみだなぁ…。

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↑ 製作補助が終わって職人ルームで寛ぐ3人の若手大工
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ものづくりの後に、沸き起こるような笑顔になれるのが、独特の喜びだったりする。

投稿者 木村貴一 : 2015年11月15日 23:59 « 「加工場」と「写真」 | メイン | Fun to home »


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