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2016年04月24日

カメラオブスキュラという「まち遊び」

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冒頭の写真は、写真家の多田ユウコさんが制作したカメラオブスキュラで撮影してくれた、小路の長細公園でブランコをする「私」。

写真家多田ユウコさんによる、カメラオブスキュラを製作し、撮影するワークショップが今日の日曜日に「まちのえんがわ」で催して、雨が降りそうな予報だったが、晴れて、というのも、流石にこのカメラは、光がなくては撮影ができず、それに、外に出て、まちを撮影する楽しみがあり、晴れを願うワークショップだった。

ちなみに多田ユウコさんは最近の木村工務店の竣工写真を撮影してくれていて、houzz のホームページにある、東大阪H邸リフォーム工事の写真が人気だったりする。

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昔は、学校の記念写真などで、カメラのレンズだけが見えている黒い布ぎれを被ったカメラマンが、ハーイ、こちらを向いて...、などと言いながら撮影してくれたのを想い出すのだけれど、デジタルカメラ全盛の時代に、こんなシンプルなカメラを制作し、できれば印画紙に焼き付けるのが良いのだろうが、逆さまに写る映像をデジカメで撮影するという、アナログ的デジタル撮影という、とっても可笑しなシチュエーションを皆で楽しむワークショップだった。

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黒い布の代わりに、70リットルの黒のゴミ袋をカメラに取り付けて、皆で、町歩きをしながら撮影をするわけで、上の写真は参加者のムラカミさんが撮影した写真を拝借していて、黒いゴミ袋を被る人たちが、「まちのえんがわ」周辺に数人出没し、撮影している姿を道行く人が、不思議そうに眺めている様子がとってもシュールで、まちに異星人が迷い込んでいるような、まちの界隈が、新鮮だった。

「私」にとっては、いろいろなまち、日本や世界各地のまちを歩くというのは、楽しみのひとつだけれど、ただ、歩くだけでなく、何十人かの人たちと一緒に、カメラオブスキュラを通して、まちを眺めながら、黒いゴミ袋を被ったひとたちが、生野区のあちらこちらの界隈で、撮影している姿があり、それを笑いながら不思議そうに眺めながて通り過ぎて行く、まちのひとたちもいて、そんな、ちょっと可笑しな、まち歩きまち遊びが、まちの界隈を形成していく、そんな日を想像してみた、日曜日の昼下がりだった。

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2016年04月17日

「まち」

早朝から、熊本の震災に思いを馳せるような、しとしととした雨が降っていて、流石に自転車に乗る天気でもなく、朝から夫婦でスーパー銭湯に出かけて、雨上がりのどんよりとした空の露天風呂に浸かり、電気風呂で体に電気を通して、サウナで汗流し、塩サウナで体を塩もみして、外に出ると、エエ天気になっていた。

20160417_023803744_iOSその足で母の入院する病院に行くと、窓の外には、春祭りの地車が、鐘と太鼓のリズムで、春の訪れを祝うかのように「まち」を練り歩いていて、「病院の窓の外には春祭り」などと、俳句など歌った事など一度もないのに、写真と一句を興じてみたい、ちょっとセンチメンタルな気分にさせる一瞬があった。

雨上がりの陽気に誘われて、「まちのえんがわ」には、自転車でフラリと夫婦でお越しになるお客さんがあって、スタッフのアオキさんが私に取り次いで、自宅から縁側に出向いてお話を聞くと、まだ、土地も中古住宅も、取得していないが、ガレージハウスをつくりたいという要望で、自動車を持たないと決断する若い方もいれば、車と共に過ごしたいという方もいて、そういう、それぞれのライフスタイルの違いを伺って、仲良く話すご夫妻に、建築的なアドバイスとともに、笑いも交えながらコミュニケーションができるのが楽しい時間だったが、そういうライフスタイルとか愛情とか笑いとかがある、なんでもない生活が、有り難い事なのだと、熊本の震災映像が繰り返される度に、そんなふうにおもえてくる日曜日でもあった。

夕方には、生野区の郷土史家のアジロさんが「まちのえんがわ」に自転車でお越しになって、小路や大瀬や片江や中川や猪飼野など旧来の地名と「まち」の成り立ちの説明をしてくださり、清見原神社の合祀の資料なども持参されて、そんな話がどんどん展開し、物部氏と磐船と交野のものづくりの話。神武東征や大和や出雲や吉備の話。アマテラスやスサノオやオオクニヌシやイザナミ、イザナギなどなど、神話級の多彩な人物が登場したオモロイ話は尽きず、「まちのえんがわ」の閉店と共に話を中断して、「続く」をもって、お別れしたが、多くの外国人がやってくる昨今、日本の事を知らない日本人のままもアカン事態なのだろう....。

13日の水曜日に、吉野檜の坂本林業さんに、ヒノキ材の見学に、ササオさんとタカノリとで行く所用があって、ついでに、終わりかけだが、吉野の桜の花見に誘って頂いた。地元のひとはタクシーを予約して、上千本まで行くらしく、終点の金峯神社まで、タクシーで行き、高城展望台からは歩いて水分神社(みくまり神社と読むらしい)、花矢倉展望台から竹林院、吉水神社、金峯山寺まで、たっぷり歩きながら、製材所と吉野が初めての若い二人に、サクラと共に、ヒノキとスギとコウヤマキの違いの講義をサカモトさんがしてくれた。そんなこんなで、神社建築や庭や山岳集落という「まち」を見ながらの建築花見となって、帰りには、丸岡製材さんの吉野杉の床材や坂口製材さんの杉の構造材とショールームを見学し、最後には、横内さん設計によるサカモトさんの自邸で、ヒノキの家を見学するという桜三昧建築三昧の一日となった。

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吉野花矢倉展望台から眺めると、桜の美しさだけでなく、吉野は、古来からの山岳都市で、それは、イタリアの山岳都市巡りの旅をした時の、カルカータやサンチミジアーノやアッシジなどと同じタイプの「まち」で、吉野山の桜の魅力は、山と桜の関係性の美しさだけでなく、その根底には山と集落と人との関係性の良さがあるのだと思えて、ただ、日本では、街並みを考慮して建築をするという意識に乏しく、ヨーロッパのような美しい山岳都市ではないのが残念で、いや、それは、実際の家をつくる工務店のかかえる問題点でもあって、それなりに反省しながら眺めたりした。

震災に強い「まち」とか、美しい「まち」並とか、「まち」と「空き家」とか、「まち」と「ひと」との関わり方とか、そんなのを考えさせられたweekだった。

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2016年04月10日

だるまさん

日曜日の早朝、3週連続で、自転車で峠に登ると、山の変化は劇的で、冬の凍てつくような寂しさから、サンシュウの黄色の可愛らしい花が咲きだして、それを追うように、ピンクな桜が満開になり、その満開だった桜はハラハラと散って、枝から緑が芽吹きだし、新緑の季節へと山が移り変わろうとする姿があって、そういう「うつろい」のような感覚に、感じ入ったりするのが、日本人の心の中に、知らず知らずに刻まれているのだと、坂道を下りながら、ふとおもった。

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さて、今日は、谷口智則さんのワークショップで、今年は「だるま」に色をつけて描こうというワークショップで、「だるま」といえば、赤い色をして、祈願成就と共に、黒い目を大きく丸く描くのが通常なのだが、写真のようなさまざまな個性的な「だるま」が誕生した。

子供の頃に「だるまさんが転んだ」という遊びをしたが、大阪では「ぼんさんが屁をこいた」と言ったりもして、鬼がそのコトバを発声したあと、すぐに後ろを振り向いて、その直後に、鬼に近づこうとしている鬼以外の子供達は、一斉に静止し、呼吸をするのを止めるほどの勢いで、体の動きを全て止めるのだけれど、その静止の時に、体や顔の筋肉や心の動きが一瞬止まったあと、むずむずして動き出そうとする筋肉や心の葛藤の面白さが、体のどこかに記憶されていて、何よりも、誰かが静止できずに動き出してしまったその動作とともに、笑いが起きるその感覚が、楽しかったのだろうなぁ....。

そういう、合図とともに、いきなり動きを止めて、ストップをするというのが、瞑想のひとつの手法でもあると知ったのは、20歳を過ぎてから偶然知った事で、その時期と前後して、9年間白い壁に向かって座禅を組んで、瞑想をし続けて、悟りを開いたという、達磨大師という中国のお坊さんがいて、それが「だるま」さんの置物の起源であると本で知り、日本の禅宗では、達磨さんは祖師として敬意を持たれ、少林寺の武術とも関係しているらしいと知って、そういう「だるま」さんが、生活の中に浸透している事に、妙な面白さを感じたりした。

そういえば、最近、大阪では、「だるま」といえば2度漬け禁止の新世界の串カツ屋さんの事だし、札幌のすすきのに行くと、ジンギスカンで有名なお店の屋号で、どうも「だるま」と聞いて、すぐに置物の「だるま」さんをイメージできない世の中の雰囲気があって、なので、「まちのえんがわ」スタッフのアオキさんから、今度の、ワークショップは「だるま」の置物に絵を描こうとおもうのですけど....、ひとり3体作って、小さな「だるま」さんは、タニグチさんに描いてもらおうとおもうんです...と云われた時は、へぇー、そう、そうなん。ま、とりあえず、それで、やってみよか。なんていうかなりエエ加減な返事だった。

ワークショップが始まる1時間30分ほど前に、タニグチさんがやってきて、だるまの下準備をしながら、あれやこれやと話をしているうちに、達磨大師の事や、禅の十牛図の絵図を想い出した。

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禅の十牛図というのは、悟りに至る10のプロセスを書いた絵図で、確か、龍安寺で購入したが、なんでも、8番目の真っ白な図が無で、その先に9番目の『分別のない心で、移り行く世界の様をありのまま見つめている。そこでは、ただ川が流れ、花が咲き、鳥が鳴き、雨が降り、風が吹き、生死があり、そして人の営みがあった』という境地や、10番目の『「さあ、酒でも飲みに行くか」童子は徒然なるままに町の歓楽街へ出かけた。身なりは貧しいが、柔和な顔で微笑んでいる童子に感化されて、町の人々は、苦しみや不快の感情が取り払われ、不思議と救われた気持ちになった』なんていう境地があるらしい。ならば、「だるま」さんに、7転び8起きする修行中の赤い姿だけでなく、9番目や10番目の酔っ払ってフラフラしている姿形を与えてあげるのも面白そうでないのかと...。

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そんなこんなで、さまざまな個性的な「だるま」さんが誕生して、こんなんで、エエのかどうか、それはそれとして、ま、何よりも、うつろいゆく「だるま」さんの姿形を創造するための「ものづくりの」時間と空間を共有した、いまとここが、楽しかったりするのだった....。

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2016年04月03日

桜のフォース

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先週に引き続き、早朝、峠に登ると、一気に桜が開花していて、勿論、登りは、漕ぐのにいっぱいいっぱいで、花を見る余裕などまったくないのだけれど、下りになると、爽快な気分で山を眺めながら下るわけで、ちょうど、お気に入りの場所に、カメラマンのおじさんが写真撮影をしていて、それで、自転車を止めて、山桜を一緒に眺めながら、あれやこれや立ち話をした。満開の桜は、ひとをオープンハートにして、見ず知らずのひとともコミュニケーションを誘発するフォースがあるのだな....。

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↑棟梁と材木屋さんが桜を愛でる。
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昨日の夕方に、目神山で上棟式があって、住宅の敷地内に桜の木があり、お施主さんのアイデアで、桜をライトアップをした上棟の宴となった。今まで、数々の上棟式を行ってきたが、満開の桜の時期にバッチリと遭遇した記憶がなく、満開の桜は、その日その場所その人たちを印象付けるフォースに満ちあふれているのだと、夜桜の上棟式に感謝したい気持ち。

今日は、住宅相談会があり、午前中のお客さんは急用でキャンセルとなって、さて、どうしようかと思っていたら、子供連れの女性が、フラリと「まちのえんがわ」に立ち寄られて、なんでも2DKのマンションのインテリアをどうしたら良いのかお悩みだと、スタッフのアオキさんが私に繋いでくれてた。話を聞くと、玄関を入っていきなり、ダイニングキッチンになっていて、人が部屋に入った時の目線を避けたいので、カーテンでも吊そうかと思ったが賃貸なので、天井にビス穴を空けるわけにもいかず....さて、どうしたものかと悩んでいるとのことだった。

そういえば、最近、大阪の住まい活性化フォーラムの第四回リフォーム・リノベーションコンクールの大阪府知事賞に、設計会社: Coil 松村一輝建築設計事務所、施工会社:株式会社 木村工務店で受賞して、その住宅は、モノを意識的に見せるインテリアで、隠すだけでなく、意識的に見せる手法もあるとホームページを見せながら説明して、流石に、「私」は、テレビ番組で見る、森泉さんのような、小物を制作してインテリアを作る能力には欠けるので、インテリアの考え方をアドバイスしたようなものだった。

お昼からのAさんは、生野区に在住で木造2階建ての住宅を立て替え予定で、成人した3人のご兄姉と両親の大人5人が集まって住む住宅を計画されていて、もちろん将来的な介護という問題を考えると、1階に両親の部屋とトイレと浴室とLDKがお望みで、敷地の大きさから、それだけを1階にとれない可能性もあり、それで、この家を売却し、もう少し大きな建売住宅を買おうとも考えたが、そんなのに相応しい間取りの建て売り住宅はなく、そんなこんなのお悩みで、お越しになられた。

最近の傾向として、都市に家族が「集まって住む」という要望が増えてきたが、政府も三世代住宅の新築に補助金を設けたり、三世帯住宅のリフォーム減税もするらしく、確かに、介護や子育てを考えると、集まって住むというのは、社会保障の公的資金の負担を減らす役目にもなり、有効な方法だが、それにしても最も大切な、三世帯家族が仲良く長く暮らせるためには、さまざまな問題点がありそうで、そのためのハード面としての建築的手法と、ソフト面としての家族間のコミュニケーションの手法が、これから問われていくのだろう....。

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自宅のしだれ桜の開花は、周辺の桜に比べると少し遅いので、相談会が終わった今日の夕刻に、ようやく満開になって、足元には、一輪の赤いチューリップも開花していた。この桜のもとで、花見をするのが木村工務店のルーティーンで、ところが、今年は開花予想の目処が立てにくく、スケジュール調整も難航し、5日の火曜日の夜に「残り桜」の宴になりそうな気配で、ま、それはそれとして、ほとんどの桜の木は、ひとの手によって、意識的に植えられたものが多く、先人たちが、桜のフォースを皆とシエアーしようと決断と努力をした、そのお陰さまで、桜が発散するピンクな春の陽気を頂戴しているのだとおもえた一週間だった。

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