時間と出来事

こんにちは、専務です
9月になっても暑さはまだまだ収まりませんが、暦上のスケジュール調整などは年末を見据えた打ち合わせも多くなってきました。一年の終わりを意識して、今までも散々に言われてきたであろう、歳をとる度に時が進む早さに驚きおののきますが、最近カルロ・ロヴェッリの「時間は存在しない」という本を読み齧ってかぶれているので、「世界は時間が流れているのではなく、出来事が連鎖しているだけで、そもそも時間感覚なんて現実ではないのだ」なんてうそぶいて飄々と冷や汗を拭いたいと思います。まちのえんがわに置いてあるので、週末のサヤカリーと共に是非手にとってください。

さて、最近は現場の新規着工や、新規案件の調査や計画の日々。
今木村工務店では、ARCHICADというBIMソフトを使って計画の3Dイメージを共有したり、図面を書いたりしていますが最近驚くのはやはりAIの進化。1度3Dを立ち上げてラフの状態をスクリーンショットして、AIにキレイな画像にして!と投げるとものの1,2分でフォトリアルなパースに。

十数年前はラフの3Dイメージをレンダリングして、光や影も反映したキレイなイメージへとレンダリングをするのに、ものによっては1枚で半日かかったのに、このスピード感の早さにはまたしても驚きおののきます。
 でもAIってラフなものは驚くようにキレイに仕上げてくれるのですが、微妙に勝手な変更したり、人間側のこだわりが強くなれば強くなるほど、ちゃんと反映しきってくれないことにイライラしたり。このパースも勝手にサッシを木調にして、ガルバリウム鋼板をダークグレーにAI的いい感じへ変更。でもそれなりに悪くないわけでもなかったり、、

いわゆるプロンプトと呼ばれる指示の仕方を極めていけばもっと精度を上げて生成されるんだと思いますが、そこをこねくり回すんであれば自分でやった方が早かったり。とは言っていても、数年前までは3Dより模型が、とか、CADより手書きが、とか言っていたので、数年後には建築設計でもAIは無くてはならない存在になっているんだろうな。

夏の備忘録を。前から行きたかった杉本博司、新素材研究所設計の江之浦測候所へ。大谷石・十和田石・ヒノキ・コールテン鋼・各地から集めた礎石など、新旧多種多様の素材を目利きして、再構成する。美術館のような、壮大な遊びのような。

写真の建築は代表作海景を展示しているギャラリーでもあり、春分・秋分の日の日の出と日の入りを結んだ軸線。
以前杉本博司さんの本歌取り展に行ったのですが、
本歌取りという古典の和歌を引用したり取り入れて新しい歌をつくる手法を、立体物に取り入れて行うお洒落さや、その行為を本歌取りと言ってしまうこと。なんか微妙な笑いも含まれている気もするし、目利きでないと出来ないし、改めて数奇者なんだなぁと驚きおののきました。

杉本博司の展覧会「本歌取りー日本文化の伝承と飛翔」が9月17日より開催

今回、江之浦測候所を訪れて、もしかして真剣に千利休を視野にいれてはるのかなと思ってしまったり。何やらこれから、白井晟一設計の住宅を移築した宿泊所や他にも施設が来年、再来年と増えていくそうなので、是非また訪れたいと思います。帰り道は影響されまくって、海を見る度に無駄な写真を一杯撮りました。

《OISO LONG BEACH INFNITY POOL》

takanori

byタカノリ