「ハイランド」

6月14日土曜日。協力会社の精親会のメンバーや大工さん、手伝いさん、社員が集まって、堺の原池公園のmatoiでBBQをする。コロナ禍があって、精親会のメンバーと一緒に行く旅行をどうするか検討し、50人ぐらいでの1泊2日のバス旅行が60年近く続くと、そのバス旅プランの限界があって、コロナ禍で中止になった旅行費用を合わせて飛行機旅に切り替えた。やっぱり快適で、飛行機なら国内の旅先のさまざまな可能性もあるので、2年に1回の飛行機旅にし、もう1回はBBQにしようということになった。午前11時から午後3時まで、あっっという間のBBQコミュニケーションだった。二次会は貸し切りバスで会社に戻って「加工Bar」で、ワイワイガヤガヤ。気心知れた、ものづくりの仲間たちとの懇親会は楽しい。

最近のこのブログに何度か登場している「欧州建築視察ツアー」の参加者は、全国の工務店の社長とその社員もしくは奥さん、息子さんを連れてこられた人もいて、プラス、その工務店の集まりのボスのような存在としての建築家秋山東一さんで、9日間も一緒に旅をすると、それなりに親しくなって、それぞれ自分の工務店のやってることを話しているうちに、ちょっとした気付きと発見がある。木村工務店には歴代続く「見積の型」があることに、あらためて気付かされたし「設計の型」は微妙だが「設計打ち合わせの型」があることを発見した。

その旅の宿泊地のひとつスコットランドのグラスコーは、どことなくゴチャゴチャした大阪的で、前日に宿泊したエジンバラは歴史ある京都的な感じだった。グラスコーでの夕食のあと、同室になった静岡の工務店のノザワさんと、地元のパブにいって地元のウィスキーを飲もう!となり、それで事前にグーグルで調べた The pot stillに行くコトになった。夜の9時でもこんなに明るいが、Barのなかはお客さんでぎっしりいっぱいだった。注文も出来にくい感じだったので、出直そうということになり、近くの別のパブの The Horseshoe barに行こうと、歩いている途中に、鹿児島の工務店のマツダさんとその社員のマツナガさんと会い、じゃぁ合流して、4人でウィスキーを飲もうとなった。

異国のBarに、ひとりでいくのは、ちょっと勇気がいるが、二人になって、それが四人になり、つたない英語を駆使する勇気もでて、それぞれ4種類のローカルウィスキーを頼んで、4人で乾杯した。とっても大きなカウンターがある広いBarで、サッカーのテレビ放映を一緒に視聴しながら1杯だけ飲んだ。もちろん最初のBarに4人連れで戻って、地元の人たちと肩を寄せ合いながら、また一緒に4種類のローカルウィスキーを楽しんだ。そういうローカルでのちょっとした冒険的な出来事が旅の良き想い出として残る。

グラスコーからバスでハイランドに向かう。蒸留所がたくさんあって…..というバスガイドさんのアナウンスがあり、車窓からの北の牧歌的な風景を眺めながら、昨日の夜のBarを想い出した。別荘地のような一角にある、駐車場に到着して、建築家チャールズ・レニー・マッキントッシュのヒルハウスを見学することになった。正直、あの有名な椅子しか知らず、建築に関しては全く無知で、事前の下調べもせず、日程に含まれているから…..程度だった。

それが、とっても良かったのだ。このヒルハウスが建てられた1904年は明治37年で日露戦争があった年だそうだが、いまでも通用するモダンな内装で、家に帰って奥方にこの写真を見せると、エエねぇ住めそうやわっ!と云った。

入り口前に着くと、建物が覆い屋で覆われていて、それがとってもカッコ良かった。開場を待つ間、坂道のはるか下には入り江が見える美しい場所で、冷たい風が下から吹き上がってきて、寒くて寒くて、ダウンジャケット持ってきて良かったわっ!と震えながら待っていたが、それ以上に現代美術をみるようなワクワク感があって、期待値で寒さに耐えた。きっと多くの建築関係のひとは、この覆い屋がこのまま存続した方が良いのでは…..と考えるとおもう。外灯もマッキントッシュ的デザインだな。

まず、受付と土産物の小屋に入り、一端外に出てから、あらためて玄関から入るスタイルで、その小屋の上が、カフェやテラスになっていて、建物の外観を眺めながら食事ができるのは、最近の美術館的だった。薄暗い日本的な感じすらする廊下があって、まず玄関すぐ横の書斎を見学し、それから廊下の階段を数段上がり、木組みを模したようにもみえる黒い廊下ホールに至って、そこの扉を開けると、漆喰的な白い塗り壁の「ドローイングルーム」とよばれるリビングのような空間が出現し、その空間の居心地ち良さに心身が包まれた。

日本の長押というか鴨居というか、そういうような水平線がすぅっっと廻っていて、うっすら日本的ななにかを感じた。それで、ChatGPTにたずねてみると…..。

✅ なぜマッキントッシュの建築に「日本的な要素」を感じるのか?

1. 簡素で静謐な美意識

  • 日本の茶室のような静けさ無駄のなさ
  • 質素で洗練された空間構成(=「侘び寂び」に通じる)。
  • 白壁や直線的な構成、控えめな装飾などがその特徴です。

2. 自然素材の使い方

  • 木、石、漆喰といった自然由来の素材の組み合わせは、日本建築と共鳴します。
  • 空間全体が「自然と調和する場」として設計されています。

3. 「余白」の感覚

  • 部屋と部屋のあいだ、廊下、開口部などに日本的な「間(ま)」の思想が感じられます。
  • 家具の配置や窓の取り方も、光や風の流れを意識しており、日本建築と共通する美学です。

4. 装飾における抑制と線の美

  • ヒルハウスの装飾は繊細で、アール・ヌーヴォー的な曲線美に加え、直線的で幾何学的なパターンが多用されています。
  • これは、**日本の伝統文様(組子、障子など)**との共通性を感じさせます。

✅ マッキントッシュと日本美術のつながり

  • マッキントッシュとその妻マーガレット・マクドナルドは、19世紀末の**ジャポニスム(日本趣味)**の流行の中で、日本の浮世絵や工芸、建築に触れていました。
  • 特に、余白・対称・素材の活かし方に深く共鳴しており、これはアール・ヌーヴォーの中でも異彩を放つ存在になりました。

✅ 結論

あなたが「日本的な要素を感じた」のは、とても本質的な感覚です。マッキントッシュはスコットランドの風土と日本の美学を融合させた独自の建築を生み出しており、それはまさに「西洋と東洋の対話」の結晶とも言えます。

ChatGPTから引用した文章だが、ほんとうに、そうなのか、再考は必要だとおもうが、それにしても「スコットランドの風土と日本の美学を融合」と「西洋と東洋の対話の結晶」というコトバには魅力を感じた。で、その白いリビングから廊下に戻ると、その黒い感じに、また魅了される。

それぞれの部屋にはそれぞれの個性が付与されてあって、それが良かったのかもしれない…..。天井の回り縁がなく塗り廻されていて、壁には何らかのデザインの水平ラインが廻っていた。もちろんそれがない部屋もあった。

部屋の窓から外を眺めると、覆い屋と回廊的なグレーチング階段とネット越しに見える景色があって、それが現代美術のように魅力的で、早く外に出て、全体を眺め、階段を歩いてみたい気分になる。

覆い屋全体がカッコエエなぁっと眺め、グレーチング階段を上り下りしながら、さまざまな角度から外観を眺められるのが楽しい。現地のヒルハウスの説明文には「内部が決定するまで外部は考慮されませんでした。」と書かれてあって、こうやって様々な高さから外観を眺めると、外部を「考慮」する時のデザインの思考過程のようなものを感じ取れて、それがとっても面白かった。

「ウィスキー」と「マッキントッシュ」を目的にして、もう一度「ハイランド」を訪れてみたいとおもう。そんなスコットランドになった。