「バターシー発電所」

とにかく暑い日々。庭のモミジは、この暑さで葉っぱが縮こまって、3分の2ほど落葉した。身軽になってこの暑さを乗り切ろうとしているのだな。そうそう例年よりアゲハチョウがよく飛んでいる気がする。

「欧州建築視察ツアー」の余韻が残る…..ロンドンのテムズ川沿いに「バターシー発電所」という元発電所を再開発した複合商業施設があって、そこを見学する。発電所の四本の煙突は一度解体し再建築したそうだ。やるねぇ!ランドマークやしね。ハイブランドも入ってエエ感じの商業施設で川沿いには芝生があって気持ちよさそうにカップルが寛いでいた。この向こうには建築家フランク・オ・ゲーリーのゴチャゴチャしたデザインの高級マンションも建って、新しいロンドンの観光スポットらしい。

それで、上の写真は「ピンクフロイド」の「アニマルズ」という1977年のアルバムジャケット。下の写真は、2018年発売の「ピンクフロイド」の「アニマルズのリミックス版」のアルバムジャケット。工事中の様子がよくわかる。「ぶた」が浮いているので有名なアルバムで、当時18歳ぐらいだがなぜか買わなかった。FM放送で流れてくる「Pig」か「Dog」か忘れたが聴いた記憶が残る程度で、もうすっかり忘れていたが、この旅をきっかけに想い出した。一緒に旅行した埼玉の工務店のアジキさんが、この商業施設のお土産店で、1977年のこのレコードアルバムを買った姿を見て、ちょっと悔しかったなぁ…..。

「原子心母」「狂気」「炎」は買ったが、オンタイムの「アニマルズ」を避けた。ジャケットが不気味だったからなのか。ウエストコーストな軽い音楽のほうが良かったからなのか。気分の問題とレコードを買う優先順位があったようにおもう。いまApple Musicで古い音楽が気軽に聴けるようになって、それにコードレスのエエイヤホンがいろいろ発売されて、「狂気」はたまにイヤホンで聴く。音を縦横無尽にぐるぐる動かしまくるのが凄いし心地良い。それに大学生の頃に友人たちと車で旅した時、霧で覆われた箱根あたりで、カセットでかかった「狂気」が印象深く、その時のコトを想い出す。

帰国して「アニマルズ」を聴く。エエアルバムだな。旅した後の今なら、イギリス社会の労働者階級と支配者層の対立を動物に例えて風刺した歌詞と楽曲も理解しやすくなった。Dogs 犬(支配される側になりたくない野心家)Pigs 豚(権力を掌握し欺瞞を広める者)Seeps 羊(何も知らずに従う大衆)とChatGPTが解説してくれた。リミックス版を聴いてたら、石川さゆりの津軽海峡冬景色をおもいだした。で、ChatGPTくんに聞いたら…..ピンク・フロイドの『Animals』と石川さゆりの『津軽海峡・冬景色』は、ジャンルも文化も異なるものの、次の共通点において深い共鳴が見られます。・下降旋律と情念の波・語るような歌唱法・風景と感情を重ねる構成・音響で孤独や喪失を描写。したがって、『Animals』は西洋的形式の中で、演歌的情感を追求した作品とも言えるのです。ま、ほんとうにそうなのか…..しらんけど。

「ヒプノシス」というデザイン集団がピンクフロイドのアルバムジャケットのデザインを担当していたと知る。どれも独特にエエデザインだし、あっ、そういえば、ピンクフロイドのメンバーのニックメイソンのソロアルバムのこれをジャケ買いしたのをおもいだした。これもヒプノシスのデザインだったのだな。レッドツェッペリンやユーミンのアルバムもデザインしていたらしい。ちなみに木村工務店の社員紹介はブルーノートのリード・マイルスがデザインしたジャケットデザインをコラージュしている。ChatGPTちゃんがこんな比較をしてくれた。

項目リード・マイルス(Reid Miles)ヒプノシス(Hipgnosis)
活動ジャンルジャズ(主にBlue Note)ロック(プログレ/ハードロック)
ビジュアル手法モノクロ写真+タイポ写真合成+幻想的イメージ
主な表現技法トリミング/グリッド構成/制限色コラージュ/合成/超現実
タイポグラフィ強調(構成要素)抑制(または非表示)
色彩感覚限定色・寒色系が多い彩度高い、加工色
コンセプト都市的・知的クールさ神秘・概念・幻想の視覚化
デザインの目的音楽の「品格」や洗練を強調音楽の「世界観」や「謎」を創出

「バターシー発電所」を見学して、その余韻を「ピンクフロイド」の「アニマルズ」で楽しんだ1ヶ月だった。