「Expoの空」
7月13日日曜日。午後1時をちょっとまわった時刻に夢洲の駅に着いて、Expo東口ゲートに向かうと、メチャクチャの行列にたじろぐ。2週間ほど前に午後12時の予約が取れたからブルーインパルスを見に行くでぇっ!と奥方から指示がでて、素直にOKっと云ったものの、想像を上回るひとひとひと。ゲートを通過するのに1時間30分ちかくかかった。照りつける太陽。アスファルトからの輻射熱。汗だく。奥方はワークマンで買った黒の空調服で快適やわっと宣う。その姿を見ながら額から汗がおち、背中に汗も流れ出し、一瞬音をあげそうになったが、子供達や乳母車に乗った赤ちゃんたちが黙って文句も言わず待っている姿に、大人げのないワタシになってしまうことを恥じて踏みとどまった。それとこの特殊な状況下で、イヤホンから流れる音楽が、忍耐を楽しみに変換してくれた。

午後3時頃にブルーインパルスがこの万博の円形リングの上を通過するらしいが、ゲートをくぐれたのは午後2時30分をまわって、円形リングに上がる階段は既に閉鎖され入場制限されていた。何気にリングの上からブルーの空を見上げブルーインパルスの機体と白煙の軌跡を眺め、円形のリングに囲われたパビリオンの上を通過する勇姿を想像していたので、一瞬あっっと想ったが、気を取り直して、海に面したステージ近くの比較的すいている場所に移動して待つ。パビリオンには行列がまったくなく、閑散としていて、このチャンスにパビリオンを見学するアイデアもあるが、やっぱりブルーインパルスを見る方に心が動いた。

男性のエエ声の場内アナウンスが始まり、1番機から搭乗者の紹介が始まると、拍手が巻き起こる。特に搭乗者が大阪府出身の…..とアナウンスされると、とっても大きな拍手と歓声が巻き起こった。ブルーインパルス搭乗者はスターなのだな。正直、ブルーインパルスを見たいという衝動はとっても薄く、奥方の想いに乗っかった程度だったのに、なぜか胸が熱くなってくる。円形リングを突き抜けるようにブルーインパルスが飛んでくると、独特の響めきと歓声があがり白煙を引きながら真っ青な上空を通過し彼方に飛んで行く姿を見ると、涙が出そうな気分になる。なぜなんだぁ。不思議だ。

あれやこれやの演技飛行が終わり、隊長機一機だけが、お礼に円形リングをぐるっと一周し、西の空に消えていく時、多くのひとが手を振り、拍手をして、ありがとう!って。「ブルーインパルスって演技のためだけに存在しているのとちゃうよねぇっ」とか「平和な空を飛び続けるブルーインパルスであってほしいねっ」とか「日本の空を守ってねっ」とか、そんな会話がちらほら聞こえてきた。

「横田ラプコン」というコトバをあらためて知る。横田基地が管轄する航空管制空域というのがあるらしく、米軍が関東圏の広域空域を掌握しているという。ブルーインパルスが東京上空を通過したのは、2020年の医療従事者への感謝飛行と2019年の天皇即位祝賀パレードだけらしい。米軍の許可がいるという。知らんけど。日米地位協定なんていうコトバをブルーインパルスが飛行する「Expoの空」を見上げながら考えてみた日曜日だった。今日は選挙の日曜日だな。