「伝統と現代、継承と革新のせめぎ合い」

日曜日の早朝。自転車で金剛ロープウェイまで往復することにして、途中、石川の玉手橋で自転車を止めて撮影。映画「国宝」の映像シーンの記憶が残っているのだな。この反対が校舎の見える向きで、ここをわざわざチョイスして、あの映画のワンシーンを作りあげるのかぁ…なんておもった。「風景の中の視覚的効果」という課題を学んだみたらっ!と私にわざわざ本の切り抜きを送って頂いたのが故秋山東一さんで、それ以降、「橋」の見方や「ランドスケープ」に新しい視点が加わったようにおもう。下の写真のイングランドのダラムにあるキングスゲートブリッジが、「風景の中の視覚的効果」の教材だった。その橋で、ひとり佇む秋山さんと撮影する私。秋山さんのピース姿は珍しい気がする…..。

あらためて玉手橋のデザインをみると、橋の入り口付近の両側のコンクリートの塊の頭頂部に、中世ヨーロッパ風というかフランクロイドライト風というか独特の「装飾」があり、吊り橋を吊る主塔の装飾デザインとして使われている。主塔のアーチのデザインもレトロモダン風で、赤い欄干も含めて、全体的に昭和レトロモダンといえるのかも。この橋が、玉手遊園地へのゲートの役目を果たす「非日常への入り口」としての「橋」であったことも考慮すると、映画国宝のテーマにある「伝統と現代、継承と革新のせめぎ合い」の導入部として、二人が学生時代を過ごすシーンを、この橋を使って撮影することで、映画としての「風景の中の視覚的効果と心理的効果」を生み出そうとしていたのか….なんて想像してみた。

ワイン会を催した金曜日の夜。戸田木材店の戸田さんとはMOKスクールで知り合いになり、会社に無垢のフローリングの営業に来てくれて、それがとってもマニアックな人だった。同じMOKスクールで知り合いになった八尾の高津木材の若林さんと一緒に食事する機会があって、あれやこれやと「木」のマニアックな話で盛りあがっていると、実はワイン通なのだという。じゃぁ、うちの家で、フレンチのシェフよんでワイン会しましょ!と、トントン拍子に話が進んで、8名の建築関係で「木好き」のひとが集まるワイン会になった。

フレンチの出張シェフの上地くんとは、かれこれ7、8回、家で食事会を開いている。30代後半でお店を持たず出張シェフと料理コンサルタントとして仕事をしている姿をここ4、5年見てきて、その食事のクオリティーがどんどん進化している姿を垣間見ると、あらゆるところで「伝統と現代、継承と革新のせめぎ合い」が起こっているようにおもう。このメインのジビエ鴨肉も、いままで食べた事のない焼き加減と食感とソースの組み合わせだった。

戸田さんは用意した11本のワインに自分で試飲した感覚を自分のコトバで書いたワイン紹介のパンフレットまで用意してあって、そのマニアックぶりが伝わるが、本職の木材に関してはホームページで、そのコダワリぶりをより感じさせられる。今回の食事会では、そうゆうオーラのもとでワインを飲みながらフレンチを食べながら話をするので、自ずと「木」に関する「伝統と現代、継承と革新のせめぎ合い」の話で盛りあがったようにおもう。

食事会の翌日の朝。うちのキッチンに並んだワインの空き瓶を見て、よー飲んで、よー話したなぁ…..とおもった。